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「悠長な検討している場合でない」、地銀と対話2年-金融庁長官が警鐘

  • 新型コロナは問題解決方法を変えず、本質的な経営の議論が必要
  • 上場企業でいることが必要か考える時期に来ている-遠藤長官

金融庁の遠藤俊英長官は、収益低迷にあえぐ地方銀行に対する新型コロナウイルスの影響について、「抱えてきた問題に対処するための時間が短くなった」と述べ、早期に持続可能なビジネスモデルに転換して生き残れるかが試されているとの見方を示した。

  遠藤氏はインタビューで、人口減少や低金利など構造的な課題に直面している地銀にとって、新型コロナは「課題解決の方法を変えるものではない」と指摘。ただ、地域企業を支えて付加価値を与える役割がこれまで以上に求められる中、「悠長な検討をしている場合ではなくなった」と述べた。

Key Speakers at Milken Institute Japan Symposium

金融庁の遠藤長官(2019年3月)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  金融庁は昨年、経営難から存続が危ぶまれる地銀を重点的に監視する新たな早期警戒制度を導入。全国の地銀103行のうち数行について「持続可能な収益性」や「将来にわたる健全性」に着目したモニタリングを続けている。

  2年前の長官就任以来、遠藤氏は地銀の経営健全化に向けた取り組みを進めてきた。経営陣との継続的な対話で意識改革を求めてきたほか、今年2月には、経営の実効性向上に向けた主要論点「コア・イシュー」を公表。これに基づく対話をすることで「真剣に経営が議論されているか」を把握してきたという。

  新型コロナ対応では6月、地銀などに公的資金を投入しやすくした改正金融機能強化法が成立。コロナ特例で経営責任や返済期限を求めないことへの懸念に対し、遠藤氏は「全ては経営の判断だ」と述べた。経営方針を決めるのは各地銀であり、金融庁は指示や命令をしないとの姿勢を取ってきている。今回も資金繰りが悪化した企業のために「何ができるかを銀行が考え抜いた結論」であれば後押しすると語った。

本気で生き残り考えているか

  一方、変革へのスピード感がないことへのいら立ちも隠さない。電機メーカーのソニーを例に挙げ、国内の上場企業がビジネスモデルを変えながら生き残りを図ってきたのに対し、かつては預金さえあれば高い利ざやを得られていた銀行は預貸業務が成立しなくなっても「何のイノベーションもしてこなかった」と指摘。「本気で生き残りを考えているのか」と疑問を投げ掛ける。

  地域の支店長として預貸業務の経験を積んでトップになった経営者が新たな時代に対応できないのは仕方ないとしつつ、その場合は「他から人材を引っ張ってくることも視野に入れるべきだ」と述べた。

  既に地銀の本業収益低迷は深刻な状況だ。新型コロナ発生前の2019年3月期に本業利益が赤字だったのは上場地銀79行のうち40行に及んだ。今年5月には地銀同士の統合や合併を独占禁止法の適用除外とする特例法が成立した。

  遠藤氏は時代背景の変化の中で「上場がコスト要因」になっている場合もあると述べ、「つらいかもしれないが、上場企業でいることは本当に必要なのか」という点も考える時期に来ていると語った。

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