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日銀ETF貸付制度の滑り出しは低調、副作用緩和効果への疑問を示唆

  • 開始後の利用額は約103億円、日銀が保有するETFのわずか0.03%
  • 「需要の読み自体が大きく外れていた」-三菱モルガンの藤戸氏

日本銀行が保有する指数連動型上場投資信託(ETF)を金融機関に貸し付ける新たな制度は低調な滑り出しとなった。日銀が圧倒的な存在感を示す国内ETF市場の流動性改善策として導入されたが、当初の実績はその効果に疑問符を付けた格好だ。

  日銀によると、6月12日の貸し付け開始からの利用額は約103億円で、25日の一日にほぼ集中している。日銀はETF買い入れを通じて同市場の75%超を占める32.8兆円相当を保有しているが、貸付額はそのわずか0.03%にすぎない。

  

低調な滑り出し

6月12日開始のETF貸付制度

出所:日本銀行

  

  低調な滑り出しは、市場のニーズへの日銀の対応が不十分である可能性、あるいは投資家が新制度に慣れる時間が必要であることを示唆している。日銀によるETF買い入れが持続できるかどうかは、政策によって生じるゆがみを効果的に抑制し得ることを日銀が示せるかにもある程度かかっている。

  SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、「それほど良いスタートではないことは間違いない」と述べた上で、「ただそれで日銀が特に困っているということもないだろう。ETF買い入れが今後も長期にわたって続く見通しの中で、日銀にとって重要な点は副作用を軽減するために策を打っているということだ」と語った。

  四半期末を控え、ETF貸し付けは25日にまとまった需要が見られた以外、ほとんど利用されなかった。四半期末を目前に控え、ETF貸し付けは25日にまとまった需要が見られた以外、ほとんど利用されていない。低調な需要について日興アセットマネジメントの今井幸英ETFセンター長は、「市場が高値水準にあることから、投資家が活発に買い入れていない、マーケットメーカーがETFを売る機会が少ないことがある」と指摘。25日については、日経225ETFの売り決済の借り入れではないかと付け加えた。

  事情に詳しい複数の関係者によれば、これまでのところ日銀当局者はETF貸付制度の結果に落胆している様子はない。同制度は長期的な視点で導入されたものであり、投資家が慣れるに従って貸付額は増えてくると日銀は予想しているという。

ETF買い入れペースは鈍化

出所:日本銀行、ブルームバーグ

  新型コロナウイルスの感染拡大で市場の緊張感が高まった3月、日銀はETFの年間の残高増加ペースの上限を従来の倍の12兆円に引き上げた。ブルームバーグの試算によると、日銀の残高増加ペースは3月に18兆円程度まで加速した後、市場が一段と安定化した6月は同7兆円を下回るペースまで鈍化した。  

  もっとも日銀は、ETFの買い入れによって市場から投資家が締め出されているとの印象を和らげる必要性を認識している。同年11月に公表されたETF市場関係者との意見交換会の議事要旨には、市場関係者が同制度をおおむね支持していたことが記されている。

  ただ、誰もが賛同している訳ではない。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは、「要は必要性があまりないということ。需要の読み自体が大きく外れていたということになる」と指摘。「膨大に膨らんだ日銀の残高に対する一つの言い訳になるという見方をしていたんだと思う」と語った。

原題:Stalled BOJ Lending of ETFs Raises Questions at Start of Program(抜粋)

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