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コロナ禍が呼ぶ「最大の機会」、デジタル改革が追い風-TDK社長

  • 世界首位のスマホ向け電池、製品を開発・量産する「早さが強さ」
  • センサー低迷は一時的、電動化や自動運転で搭載数増

TDKの石黒成直社長は、新型コロナウイルスの感染拡大で広がった生活やビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)が、主力製品の二次電池やセンサー需要の追い風になるとみている。ブルームバーグとのインタビューで話した。

  石黒社長は、世代や性別を問わず人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)などのデジタル化の恩恵を被るDXは、TDKにとって「最大のオポチュニティー」と強調。コロナ禍でDXが「加速する」とした上で、空間や時間を「人類はついに征服しつつある」と話した。

  カセットテープやHDD磁気ヘッドなど磁気応用製品を中心に成長してきたTDKだが、現在の主力製品は電池だ。2005年に香港の電池メーカーを買収したスマホ向け電池は世界首位(31%=テクノ・システム・リサーチ調べ)で、ブルームバーグのデータによると、韓国サムスン電子や米アップル、中国の華為技術(ファーウェイ)などに製品を供給する。2020年3月期の電池事業の営業利益はその前の期と比べて36%増の1241億円となり、全体で最も多かった。

Mobile Champion

In 2019, TDK commanded close to half of the cellphone battery market

Source: Techno Systems Research Co.

  石黒社長は、スマートフォン向け電池では顧客が求める品質の製品を開発・量産する「早さが強さの一つ」だとし、ワイヤレスイヤホンなどで使う小型電池向けでもノウハウを生かしたい考えを示した。

  一方、17年に米インベンセンスを買収したセンサー事業は、前期まで3年連続で営業赤字を計上した。売り上げの半分を占める自動車向けが、コロナ禍や米中貿易摩擦を受け低迷したことが主因だ。

  ただ石黒社長は、低迷は一時的で「時間が解決してくれる」と説明。電動化や自動運転技術の進化で1台当たりのセンサー搭載数が増え、「相当追い風になってくる」との見方を示した。電動パワーステアリングのアシスト用モーターの回転角を制御する磁気センサーは、量産化に向け複数のプロジェクトが進んでいるという。

TDK files photos

石黒成直社長

Source: TDK Corp.

  新たな買収については、目標達成のために「補完的にするかもしれない」としたものの、企業価値が「安いからと言って買い物をしようという気持ちは今私にない」と話した。

  イヤホンなどに付いているセンサーの一種であるMEMSマイクロフォンの市場も既に拡大が始まっており、「本腰を入れて開拓していく」という。コロナ禍の巣ごもり需要でスマートフォンやゲーム機、仮想現実(VR)ゴーグル向けの需要も伸びるとみている。 

  富士キメラ総研は、世界のセンサー市場は23年3月期に18年3月期から32%拡大して7兆7009億円になると予測している。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE