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「中国製」の香港国家安全法、大きな解釈余地-違法恐れて萎縮も

更新日時
  • 国家安全法に曖昧さ-違法とされるか分からず言動を控える恐れも
  • 外国メディアやNGOの管理強化も中国の駐香港機関に求める

中国当局者は6月30日施行の「香港国家安全維持法」を香港に「ふさわしい」と表現した。だが、香港の弁護士らは乱用される恐れのある法律だと指摘している。

  北京で非公開に策定された35ページにわたる香港国家安全維持法は、「中国の特色ある社会主義法体系」と中国への返還後も香港で保たれてきた英国流のコモンローとの間の不安な組み合わせを象徴している。

Protests on the Anniversary of Hong Kong's Handover to China amid New Security Law

香港警察とにらみ合うデモ参加者(7月1日)

  香港国家安全維持法は政権転覆と国家分裂、テロ活動、外国勢力と結託して国家安全に危害を加える行為を罰する法律で、最高刑は無期懲役となっている。

  北京と香港での勤務歴が20年を超える弁護士・作家のアントニー・ダピラン氏は、「意図的に曖昧になっている」と指摘。「中国の法体系が機能するやり方であり、解釈の余地が大きい。当局が狙っているなら誰でも標的にする余地が相当ある」と話す。

  香港国家安全維持法は750万人の香港住民だけでなく、香港に地域本部を置く約1300社の外資系企業にとっても先行き不透明感が増すことになりそうだ。同法は曖昧であり、多くの人は違法とされるか分からない言動を控えることになるかもしれない。これは、常に迫る危険を示す古代シチリアの故事「ダモクレスの剣」として国務院(政府)香港マカオ事務弁公室の張暁明副主任が7月1日に示唆した効果でもある。

中国、国家安全法は「香港の転換点」-極めて少数の人物対象と主張

CHINA-HONG KONG-POLITICS

国務院香港マカオ事務弁公室の張暁明副主任

香港国家安全維持法のポイント

1.広義

  中国と香港当局者は、逮捕される可能性があるのは「極めて少数の」人々だと主張しているが、政権転覆と国家分裂、テロ活動、外国勢力との結託は幅広い行為が対象になってくる。鉄道の遅延や香港独立の旗を振る行為など、昨年の抗議活動でデモ参加者やその支持者が採用した非暴力的な戦術も多くで対象になるようだ。

  香港警察は1日、「香港独立が唯一の道」などとスローガンを唱えれば、刑事罰を科される可能性があると抗議活動参加者に警告していた。「香港独立」の旗を所持していた疑いで逮捕された男が国家安全維持法の施行後初めての逮捕となった。

Protests on the Anniversary of Hong Kong's Handover to China amid New Security Law

香港での抗議活動中に警察に逮捕されるデモ参加者

2.国境を越える適用範囲

  香港国家安全維持法は香港住民だけでなく、非居住者に対してもグローバルな管轄権を主張している。理論的には、亡命した反体制派から外国の人権活動家、制裁案を策定している官僚まであらゆる人が対象になる。

  「明らかに領土外にまで同法の範囲が広がっており、香港との身柄引き渡し協定がある国々はこれらをしっかり検証する必要があるだろう」とダピラン氏は指摘する。

3.外国勢力との結託

  香港の歴史は中国本土と世界の橋渡し役として位置付けられることが多かったが、香港住民と外国人は今後、交流の在り方についてより注意を払う必要があるだろう。外国勢力との結託に関する条項で、中国当局が本土で反政府派やジャーナリスト、ビジネス関係者に行ってきた検挙の理由と似たさまざまな罪状が入った。

  差し迫ったリスクにさらされるのは米国や他国の政府に制裁を働き掛けていた活動家だ。中国の国営メディアは黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏ら著名活動家をこの点で頻繁に批判していた。黄氏は香港国家安全維持法の施行前に自ら創設した政治団体「香港衆志(デモシスト)」の解散を発表。デモシストを含めて少なくとも5つの政治団体が発効前に解散を公表した。海外で運営と訴えを続けたいとする声もある。

香港活動家ジョシュア・ウォン氏創設の民主派団体デモシスト、解散へ

Demosisto's Joshua Wong and Nathan Law Announce Their Bids for the Pro-Democratic Camp's Primary Election

民主活動家の黄之鋒氏

  同法は詳細が分からないが、香港駐在の外国メディアや非政府組織(NGO)の管理強化も中国の駐香港機関に求めた。慈善団体が警察への登録を義務付けられたり、ジャーナリストが厳しい制限に直面したりする中国に似た監督を香港が採用する可能性があることを示唆している。

Protests on the Anniversary of Hong Kong's Handover to China amid New Security Law

抗議デモで香港独立の旗を振る参加者(7月1日)

原題:Made-in-China Law Keeps Hong Kong Guessing Whether It’s Guilty(抜粋)

(香港国家安全維持法のポイントを追加し更新します)
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