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コロナ禍に株価2倍、物流自動化期待でダイフク時価総額1兆円超え

  • 新型コロナによる外出自粛で物流や工場での生産の無人化技術に注目
  • 新型コロナで楽天やファストリは物流改革強化-ベンチャーに商機も

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、物流や工場での生産の無人化技術に注目が集まる中、自動搬送機器の世界最大手、ダイフクの株価が上昇している。

  ダイフクの株価は3月13日に終値で4955円と昨年9月以来の安値を付けたのちに上昇し、緊急事態宣言下の5月中旬に時価総額1兆円を突破。株価は1日に一時前日比2.2%高の9630円と上場来高値を更新した。2日の午前終値は9270円だった。同社株は2018年1月にも一時的に時価総額1兆円を上回ったがその後株価を大きく下げていた。今回は大台突破後も上昇を続け、足元の時価総額は1兆2000億円前後で推移している。

  「ダイフクはポストコロナの新常態を担う主役の一つ」とSBI証券の諸田利春シニアアナリストは言う。新型コロナの流行で電子商取引(EC)の利用が加速する中、確かな技術力をもつダイフクを物流システムにおいて世界でもトッププレーヤーとして注目していると指摘。「持続性を含めて中長期成長ビジビリティーは高い」とし、目標株価1万1300円を掲げた。また三菱UFJモルガン・スタンレー証券も、6月30日付の機械セクターリポートで、ダイフクをトップピックの一つに挙げた。

ダイフクの時価総額

  ダイフクの広報担当者は株価の上昇に対し、コメントを控えた。

  新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で経済活動が長期にわたり停滞した経験を踏まえ、大手企業でも自動化や省人化の対応を加速している。

  ファーストリテイリングの柳井正社長は4月の決算会見で、今回の危機を乗り越えるため、サプライチェーン改革を図る自社プロジェクトをより強力に進めていくとし、今後も物流関連の領域における投資を積極的に行うと説明。楽天の三木谷浩史会長兼社長は物流の自動化を進めているとし、「今後、コロナ禍を契機にますますこれを進めていきたい」と決算会見で話した。

  物流関連装置を製造している椿本チエインの岡本雅文マテハン事業部長は、新型コロナ対応で「さらに自動化設備の導入を検討されるなど問い合わせ、引き合いは増えている」と電子メールの取材で述べた。消費者の間でECの利用が一段と広がり、荷扱い量が増加した椿本の顧客にとって作業者の確保と感染症予防が課題となっているという。

  物流業界では以前から自動化や省人化のニーズが高かったが、「人の手を介さないシステムの要求がますます増えてくる」と岡本氏は見込む。

人でないとできない部分も

  独自の技術で挑む物流関連のベンチャー企業への引き合いも増えている。物流業界の業務改善ソフトウエアを提供するHacobuでは、トラックが物流倉庫に入出荷する際にオンラインで予約受付ができるサービスの一部を5月末まで無料提供したところ20-30社から問い合わせがあり、半分ほどが契約に進んでいる。

  受付センターの職員とトラック運転手が紙でやり取りをしている倉庫が多い中、「人との接触を減らせるという観点からも引き合いが伸びている」と広報担当の清水健史氏は言う。

  倉庫内での物の移動をサポートする無人搬送車(AGV)などを展開するZMPでも、台車が自立走行するロボットや無人で動くフォークリフトへの問い合わせが以前の3-4倍に増えたという。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの北浦岳志アナリストは、自動化関連の機器メーカーの業績にとって自動車の販売減少や生産調整などはネガティブな一方、物流分野は支えになるとみる。物流では会社によって倉庫の形状などが違い、「人でないとできない部分がまだたくさんある」としながらも、感染予防で倉庫に入る人数が制限されれば出荷数が限定されて機会損失となってしまうこともあり、「自動化のインセンティブは過去より高まった」とみる。

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