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香港金融人材受け入れで年内に提言、優遇税制検討-自民・片山氏

更新日時
  • 国際金融都市実現へ、新たな就労ビザ創設など課題に
  • 東京都と連携、推進組織トップの中曽前日銀副総裁らからも意見

中国が香港への統制を強める中、東京を香港に代わるアジアの金融ハブにしようとする動きが、自民党内で加速している。6月にまとめた成長戦略で金融人材の受け入れ促進などを明記。今後は外国人労働者等特別委員会で税制やビザなどこれまで海外人材の受け入れを阻んできた問題点を洗い出し、早ければ秋に方向性を出して、年内に提言をまとめる方針だ。

  特別委員会の片山さつき委員長(参院議員)は6月30日のインタビューで、今後、香港でさまざまな規制が強化された場合、これまで自由な環境でビジネスをしてきた人材が、「耐えられるだろうか、普通の所にいたいと思うだろう」と指摘。東京は「フリー、フェア、グローバル」な都市であり、長年目指してきた国際金融都市・東京の実現に向けて党内議論を進める考えを示した。

Satsuki Katayama

片山さつき氏

  外資系金融機関などから東京参入を阻む要因について聞き取りを行い、香港やシンガポールよりも、ビジネス上、優位に立てる制度づくりについて政府への提言をまとめる。7月1日には東京都が官民の金融プロモーション組織・東京国際金融機構のトップに据えた前日銀副総裁の中曽宏氏らから意見を聴いた。

  中曽氏は、香港情勢に加え、コロナ禍で医療体制が持ちこたえたことなどが評価され、「香港の金融機関から、東京のビジネス環境に関する照会が増えているのは事実」と発言。ただ事業設立の手続きの煩雑さや資金調達の難しさが障壁となり、こうした流れを「持続的なものにするには、課題も多い」と述べた。     

  同特別委の金融人材受け入れプロジェクトチームの座長に就任したJPモルガン証券出身の中西健治参院議員は、香港の金融人材が拠点を移す場所はシンガポールではなく、「東京にしてもらわないといけない」と強調した。

Aerial Views Of Tokyo Bay Area and Financial District

アジアの金融ハブを目指す東京

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

SEなどバックアップ人材の受け入れも

  中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会で6月30日、香港国家安全法制の柱となる「香港国家安全維持法」が成立、即日施行された。金融センターとしての地位を支えている中国から独立した法制度と「一国二制度」が脅かされつつあり、人材や資本の流出も懸念されている。

  政治統制を強める動きに加え、国有を中心とする中国本土企業が、不動産や新規株式公開(IPO)などでも積極的な役割を果たすようになっており、経済活動への影響力強化も進められている。

  片山氏が国際金融都市・東京実現のポイントして挙げるのは、所得税などの減税や海外の金融人材が利用しやすい就労ビザの創設、システムエンジニア(SE)など金融をバックアップする人材を含めた受け入れ態勢の推進だ。東京に進出する海外企業に無料でオフィスを提供するなど、人材を呼び込むための初期の優遇措置も「当然考えないといけない」と指摘した。

  自民党内での動きには、国内の金融関係者からも期待の声が上がる。日本証券業協会の鈴木茂晴会長は7月1日の会見で、国際金融都市構想は「言葉の問題もあり、なかなか進まなかった」とした上で、この機会を契機に「東京の金融市場としての地位が高まるということになれば最高だなと思う」と述べた。

日証協会長:「金融センターの地位間違いなく失う」、香港国家安全法

成長戦略

  自民党は6月25日にまとめたポストコロナの経済社会に向けた成長戦略で、「国際金融都市TOKYO」の実現を目指し、金融人材の受け入れ促進や、サポート体制の強化などを官民一体で強力に進めることを盛り込んだ。

  安倍晋三首相は11日の参院予算委員会で、東京が東京が金融面でも「世界中から人材・情報・資金の集まる国際都市としてさらなる発展を続けていくということは重要」と答弁。「香港を含め専門的・技術的分野の外国人材の受け入れを積極的に推進してきた」とした上で、「引き続き積極的に推進していく」との考えを示している。

  片山氏は、党の成長戦略への国際金融都市・東京実現への戦略の明記は、「久しぶり」であるとした上で、政府が7月中に決める経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)にも一定程度、盛り込まれるとの見方を示した。

東京を「国際金融都市」に、海外人材受け入れ促進を-自民党成長戦略

  国際金融都市として東京を復権させる動きは、都が取り組んできた課題だ。2017年11月、アジアナンバーワンの国際金融都市の地位を取り戻すことを目指す「国際金融都市・東京」構想を策定した。

  片山氏は、小池百合子知事と都議会自民党との対立関係もあり、国への税制改正要求も進まず、構想だけで「終わっていた」と明かすが、今後は都との連携強化も必要との認識を示した。早期に香港からの人材流出が始まる場合に備え、対応を「急がないといけない」とも語った。

  小池知事と西村康稔経済再生担当相は6月30日、国際金融都市構想について議論。小池氏は終了後、記者団に「もっと連携してやっていきましょう」と話したと説明し、税制や英語対応などについて意見交換したと述べた。西村氏は、海外の金融関係者にとって「魅力ある街になるよう、政府としても考えていきたい」と語った。

 

(第9段落に日本証券業協会の会長のコメントを追加して更新しました)
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