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米国版YCC、長期ゾーン対象に導入なら1ドル=100円割れとの声も

  • 10年なら経済にプラス効果もドルには相当の下押し-三菱UFJ銀
  • みずほ銀は一段のドル・円レンジ化を予想、10年で105円以下主戦場

米国でのイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の是非が、2020年後半のドル・円相場を展望する上で焦点の一つとなっている。特定の年限の利回りを一定の水準に誘導する同政策を米連邦準備制度理事会(FRB)が導入する場合、短中期ゾーンを予想する向きが多いが、10年など長めの期間の金利抑制に動けば、ドル安の影響が大きくなり、1ドル=100円割れの可能性があるとの声も聞こえる。

  「どこにターゲットを置くかによるが、中長期的にはドル売りプレッシャーが効いてくる話」。ソシエテ・ジェネラル銀行の鈴木恭輔為替資金営業部長は「まさにカーブが立っている5-10年のところを触ってくると相当パワーを感じる。長いところだとより効いてくる」とし、「105円アンダーの世界が垣間見えてくる」と話す。

  ブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、YCC採用を予想したうちの大半が2年ないし5年の年限が対象になると見通した。

  新型コロナウイルスの感染拡大による逃避需要や米金融当局の積極的な緊急緩和を受け、米国債利回りは過去最低水準に低下。5年債利回りは足元0.3%前後で、仮にフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の0.25%程度に抑えるとした場合、低下余地は10ベーシスポイント(bp)にも満たない。

  シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは、YCC導入自体は「ややドル安的な要素とみるべき」とした上で、「5年金利が0.1%程度下がり、10年金利もやや下がるとして、そこからくる直接的な影響は1円あるかどうか」と分析する。

10年なら年内100円割れも

  一方、ブルームバーグ調査では少数ながら10年や30年を対象にYCCを導入するとの予想もあり、その場合のドル・円の下げ圧力は大きくなるとの見方が出ている。三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、10年となれば住宅ローン金利などにも影響し、経済へのプラス効果が期待できる半面、ドルには相当の下押しとなり、場合によっては年内100円割れもあり得ると予想。「経常赤字国の米国が資金を呼び込むには、相対的に高めの金利を見せるか、それができないとすると、ここまでドルが安くなるなら米債を買ってもいいという方にもっていくしかなくなる」と指摘する。

   

日銀YCC導入後に高い相関

  日本銀行が10年債利回りをゼロ%程度に誘導するYCCを導入した16年以降、ドル・円は日米金利差において米金利動向の影響を直接受ける形となり、米10年債利回りとの相関係数は17年にかけて0.8と日本の変動相場制移行後の最高となった。

  その後、米利上げからくるドル高圧力とトランプ政権の保護貿易政策を受けたリスク回避の円高圧力に翻弄(ほんろう)され、相関性は低下。米国が利下げに転じた19年には0.7前後に戻ったが、今年3月のコロナショック後は、米長期金利が1%以下の過去最低水準で停滞する中で、ドル・円は106-108円台中心のレンジ相場が続いている。

  「今でも日米金利差はほとんどないが、米国がYCCを導入すれば、この先、変化幅としても何も起きないことが確定し、ドル・円のレンジ化が一段と進む」。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストはそう話し、短中期ゾーンが対象となるなら、105-110円のレンジは変わらないと指摘。一方、「10年なら誰も想定していないので、当然ドル・円の水準は下がる」とし、「105円以下のところを主戦場とするような動きになる」と予想している。

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