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日銀が金融政策の維持決定、資金繰り支援の総枠110兆円超に拡大

更新日時
  • コロナの影響「極めて不確実性高い」、必要なら躊躇なく追加緩和
  • 景気は極めて厳しい、物価は当面「マイナスで推移」に下方修正

日本銀行は16日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる金融政策運営方針の維持を賛成多数で決めた。新型コロナウイルスの影響に対応するために打ち出してきた一連の措置の実行によって、企業の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努める。2020年度第2次補正予算の成立を受け、資金繰り支援特別プログラムの総枠を拡大した。

  会合後に公表した参考資料によると、コマーシャルペーパー(CP)・社債の買い入れと新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペを合わせた特別プログラムの総枠は110兆円超となり、従来の75兆円超から増加した。2次補正の成立に伴って企業への実質無利子・無担保融資が拡充されたことなどに伴う措置。内訳はCPと社債が20兆円で変わらず、6月下旬にスタートする新たな資金供給措置を含むコロナ対応オペを90兆円として、これまでの55兆円から拡大した。

  イールドカーブ・コントロール政策は、現行のマイナス0.1%の短期政策金利と「ゼロ%程度」の長期金利目標を維持し、「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」とのフォーワードガイダンス(指針)にも変更はなかった。指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)、CP・社債の買い入れ方針も据え置いた。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda News Conference As Central Bank Ramps Up Asset Buying, Holds Rates Steady After Fed Cut

日銀本店

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ブルームバーグが47人のエコノミストを対象に実施した調査では、7割超が日銀は今回会合で金融政策の現状維持を決めると予想していた。

  野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは、今回の日銀の対応について「政策の枠組みは既に決まっていたのでコロナ対策のところで金額を増やして万全を期すということだ」とし、「現在は流動性リスクによる倒産件数増加を防ぐことに力を入れているが、物価を押し上げていく効果は期待できないので、インフレに働き掛けるのは次のステージになる」との見方を示した。

  声明文では、感染拡大の影響が内外経済に与える影響について「極めて不確実性が高い」とし、影響収束までに企業・家計の成長期待や金融仲介機能が大きく低下することがないか、注意が必要と言及。当面は新型コロナの影響を注視し、「必要があれば、躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」方針を改めて表明した。

  景気は「内外における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、極めて厳しい状態にある」と判断。先行きは「経済活動が徐々に再開していくとみられる」としながらも、内外の感染拡大の影響によって「当面、厳しい状態が続くと考えられる」との見通しを示した。

  消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は「ゼロ%程度となっている」とし、足元の物価下振れを踏まえて、これまでの「ゼロ%台半ば」から下方修正。先行きも「当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けてマイナスで推移するとみられる」と展望。「弱含む」としていた従来見通しから判断を引き下げた。

長短金利操作(賛成8反対1)
  • 短期金利:日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%適用
  • 長期金利:10年物金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債を買い入れ。その際、金利は経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる
  • 片岡剛士委員が反対
資産買い入れ方針(全員一致)
  • ETFとJ−REIT:保有残高がそれぞれ年間約12兆円、約1800億円相当で増加するペースを上限に、積極的に買い入れ
  • CP・社債:それぞれ約2兆円、約3兆円の残高を維持。加えて2021年3月末までの間、それぞれ 7.5 兆円の残高を上限に追加の買い入れを行う
フォワードガイダンスとコミットメント
  • 当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる
  • 政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定

  午後3時半に黒田東彦総裁が定例記者会見を行う。決定会合の「主な意見」は6月24日、「議事要旨」は7月20日にそれぞれ公表される予定。  

(詳細を追加して更新しました)
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