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Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg
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個人向け国債販売に急ブレーキ、新型コロナや現金還元中止で8割減

  • 証券会社での販売落ち込み顕著、4-6月は発行計画比の進捗率15%
  • コロナで顧客勧誘自粛、中途換金防止策受けキャンペーン中止相次ぐ
Pedestrians wearing protective masks cross a street at night in the Shinjuku district of Tokyo, Japan, on Sunday, June 14, 2020. Tokyo lifted the city’s virus alert and moved into the next and final phase of its reopening as the Japanese capital continued its recovery.
Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg

足元で日本国債の個人向け販売に急ブレーキが掛かっている。5月債と6月債の販売額は2カ月連続で前年同月に比べ8割超減少。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、取り扱い金融機関が顧客勧誘の自粛や窓口対応の縮小などを実施したことに加え、購入者に現金を還元するキャンペーンの相次ぐ中止も販売減に拍車を掛けた。

  財務省の統計によると、個人向け国債の発行額は4月債が6200億円だったのが、5月債は前年同月比85%減の563億円、6月債も同82%減の663億円と激減した。4-6月期の累計では前年同期比35%減の7425億円で、今年度発行計画4.8兆円に対する販売進捗(しんちょく)率は15%にとどまる。

個人向け国債の販売に急ブレーキ

5-6月の販売額は前年同月比8割超減

出所:財務省

  財務省が10日の国債トップリテーラー会議に提出した資料では、個人向け国債の大半を販売してきた証券会社での落ち込みが特に顕著。金融機関はアンケートで、新型コロナの影響について「緊急事態宣言後は来店の勧誘や訪問営業は行わず、新規顧客の勧誘を控えた」「能動的な訪問販売は自粛し、交代制の出勤により、窓口対応を通常の半分程度とした」などと回答した。

  また、4月以降に金融機関による国債購入者へのキャッシュバックキャンペーンの中止が相次いでいることで、「キャンペーン目的の購入者が減少」「コロナ禍の影響もあるがどちらかというとキャンペーン取りやめの影響が大きい」との指摘もあった。

中途換金防止策

  発行後1年経過直後の中途換金率は年々上昇傾向にあり、18年度は発行額の約3割が中途換金された。財務省はキャンペーン狙いの購入と中途換金を防ぐため、金融機関に支払う販売手数料を引き下げる一方、残高の0.02%を支払う新たな管理手数料を導入することを3月に取り扱い金融機関に打診。今月10日の会議で10月債からの実施を決めた。

  SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは、個人向け国債の急減について「個人向けは国債のメインの販売手段になっていない」とし、国債管理政策上の大きな問題にはならないと指摘した。国債は大半が機関投資家向けに発行され、今年度の国債発行総額に占める個人向け販売分は2%弱にすぎない。

  一方、大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、「国債を幅広い層に持っていただくというこれまでの政策から外れてしまう」としながらも、「この金利情勢では普通欲しいとは思わない」と述べ、早期の販売回復は難しいとの見方を示した。

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