日本株続落、米感染2波懸念に揺らぐ-午後に円軟化、債券も伸び悩み
長谷川敏郎-
ドル・円相場は1ドル=107円10銭前後、リスクオフの巻き戻し
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国内債券相場は伸び悩み、長期国債先物6月物は前日比2銭高

Pedestrians wearing face masks walk past an electric quotation board displaying the numbers of the Nikkei 225 Index on the Tokyo Stock Exchange in Tokyo on June 11, 2020.
Photographer: PHILIP FONG/AFP
Pedestrians wearing face masks walk past an electric quotation board displaying the numbers of the Nikkei 225 Index on the Tokyo Stock Exchange in Tokyo on June 11, 2020.
12日の日本株は続落した。米国で新型コロナウイルスの感染第2波が懸念され、景気回復期待による急ピッチの株高に変調の兆しが出ている。為替市場では円が午後に軟化し、債券相場は伸び悩んだ。
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フロリダ州で感染が加速、テキサス州で外出制限令の再発令の可能性が浮上するなど、経済活動が順調に再開されてきた米国の一部の州で、感染第2波到来への不安が広がっている。ウイルス流行による景気への影響が長期化するとの懸念から、米国株のボラティリティー(変動性)を示す指標は急伸し、投資家心理を大きく揺さぶった。11日のボラティリティー指数(VIX)は2018年2月以来の上昇率を記録した。
〈きょうのポイント〉
ニッセイアセットマネジメント運用企画部の松波俊哉チーフ・アナリストは「米国株はもともとバリュエーションからみて過熱感があったことから、感染第2波の懸念が加わったことで下げが大きくなった。3月からの反発局面はいったん終了し、今後1-2週間は米新規感染者の推移をにらんで調整含みになりそうだ」と述べた。
日経平均は一時685円安の2万1786円に下げ、6月1日以来の2万2000円割れとなる場面があった。ただ、投資家の長期的な買いコストである200日線(2万1749円)を維持すると、売り一巡後には米株先物の大幅高を受けて急速に下げ渋った。「第1波の時とは違って人々はコロナ感染防止の対処法を分かっており、経済への影響は第1波に比べて大きくならないだろう。今回の下げはバリュエーション調整に過ぎない」とも松波氏はみていた。
為替、債券
東京外国為替市場のドル・円相場は、午後3時27分現在、前日比0.2%高の107円13銭。内外株安を背景に一時106円59銭とニューヨーク時間に付けた1カ月ぶり安値に迫ったが、午後に入り上昇に転換。マネーパートナーズの武市佳史チーフアナリストは、株価の下げ幅縮小など行き過ぎたリスクオフの巻き戻しを受けた動きと説明した。
国内債券相場は伸び悩み。長期国債先物6月物は前日比2銭高の152円19銭で取引を終えた。午前に152円35銭まで上昇したが、午後に上げ幅を縮小した。長期金利は1ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.005%と2週間ぶりにマイナス圏に低下して開始したが、午後は0.01%と上昇に転じている。世界的なリスク回避の流れを引き継いで買いが先行したが、その後は日本株の下げ渋りや高値警戒感、日本銀行が実施した国債買い入れオペの結果が弱かったことを受けて売りに押された。
みずほ証券の松崎涼祐マーケットアナリストは、長期金利について、「海外金利の上昇トレンドの一服で若干低下したものの、マイナス圏を買い進めていく展開にはなりづらい」とした上で、「株価との連動性は崩れているが、多少は重しになっている面もあるかもしれない」と述べた。
