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Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
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パウエル議長はアクセル緩めず、FOMCは22年末までゼロ金利見込む

更新日時
  • パウエル議長、あらゆる手段を必要な期間用いる決意を表明
  • 労働市場の完全回復は時間要する、YCC採用は継続協議-議長
The Marriner S. Eccles Federal Reserve building stands in Washington, D.C.
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

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米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は10日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で痛手を負った労働市場が回復するまで、当局が米経済への景気刺激策を継続するという力強いメッセージを送った。

  連邦公開市場委員会(FOMC)は9、10両日に開催した定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0-0.25%で据え置くことを決定した。また資産購入に関して「少なくとも」現行ペースを維持するとしたほか、2022年末まで政策金利をゼロ付近で維持するとの見通しを示した。

声明全文はこちらの記事をご覧ください

  パウエル議長は声明発表後にビデオを通じて記者会見し、新型コロナ感染拡大からの景気回復を支援するため、金融当局としてあらゆる手段を用いると表明。「利上げについて考えることすら考えていない」と述べ、「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることに強くコミットしている」と語った。

Fed Chairman Jerome Powell Holds Video News Conference Following FOMC Rate Decision

ビデオを通じて記者会見したパウエル議長(6月10日)

撮影r: Andrew Harrer/Bloomberg

  アマースト・ピアポイント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は1930年代の大恐慌に言及し、「米金融当局は、行動を起こさなかったことで大恐慌が悪化した事実に明らかに非常に敏感になっており、その間違いを繰り返したくない思いだ」と指摘。「少なくとも今のところ当局は、見渡せる限りは緩和姿勢を取ると誰もに信じてもらいたいのだろう」と分析した。

  米金融当局の景気判断を投資家が見極めようとする中、10日の米国株は前日終値を挟んでもみ合いとなり、ドルは下落した。 米10年国債利回りは0.72%と、ここ1週間で最低に低下した。事実上のゼロ金利政策と債券購入を維持する当局のシグナルに債券相場に強気論が強まった。

  会合後に発表された声明では、「家計や企業への信用の流れを支えるため、連邦準備制度は今後数カ月にわたって、財務省証券と政府支援機関(GSE)保証付きの住宅ローン担保証券(RMBS)・商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の保有を少なくとも現行ペースで増やし、市場の円滑な機能を維持する」との方針を表明した。

  ニューヨーク連銀は関連の声明で増加ペースについて、米国債は月額約800億ドル(約8兆5600億円)、MBSについては同約400億ドルになると説明した。

The Fed's New Dot Plot

  グラント・ソーントンのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「MBSと米国債についての行動は、追加支援が必要だとのFOMCの考えを浮き彫りにしている」と分析。「雇用の回復という点で困難を克服したとは金融当局は考えていない。デフレリスクは依然高く、経済をさらにしっかりと癒やすには追加の支援が必要だ」と述べた。

  金融緩和策が資産バブルをあおるリスクについて問われたパウエル議長は、当局が完全雇用と物価安定の回復に集中していると強調。「資産価格を特定の方向に動かすことには全く重点を置いていない」として、そのようなリスクに否定的な考えを示した。

  昨年12月以来の公表となった経済予測では、21年末までFF金利がゼロ付近で維持されると全ての当局者が予想。また2人を除き全員が22年末までゼロ付近で据え置かれるとの見通しを示した。経済予測は通常四半期ごとだが、3月は新型コロナの影響で公表が見送られていた。

  声明では米経済について、中期的に「重大なリスク」に直面しているとし、前回4月会合での声明の文言を繰り返した。

  経済予測によれば、10-12月(第4四半期)の失業率は中央値で9.3%への低下を予想(5月実績は13.3%)。21年は6.5%に下がるとみている。国内総生産(GDP)については今年が6.5%減、来年は5%増に回復すると見込む。インフレ率は22年いっぱいは当局目標の2%を下回って推移する見通し。

  パウエル議長は市場予想よりも良好だった5月の雇用統計について、労働市場が底を付けたことを意味する可能性はあるとしつつ、多くの人の予想が外れ驚きが広がったという事実は、「現状がいかに不透明かを明確に示している」と述べた。

  また、労働市場の回復には時間がかかると慎重な姿勢も見せた。

  議長は「数百万という極めて多くの人々が前の職場に戻れないと私は想定しており、元の業界で職がない状況がしばらく続く可能性がある。そうした人々が再び職を見つけられるようになるまでには、何年かかかるかもしれない」と語った。

  イールドカーブ・コントロール(YCC)については、FOMCがブリーフィングを受けたことを明らかにした。その上で記者団に対し、YCCに関する議論は今後の会合で継続されると述べた。ブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、FOMCが年内にYCCを採用すると予想されている。

  議長は明確な形でのフォワードガイダンスを含むような政策戦略を打ち出す前に、景気回復の状況が一層明らかになるのを当局は待っていると付け加えた。

原題:Dovish Powell Sees Fed Keeping Foot on Gas Until Jobs Come Back(抜粋)

(パウエル議長や市場関係者の発言、市場の反応を追加して更新します)
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