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日本の低失業率背後に大量の「隠れ失業者」、コロナで休業者数急増

  • 休業者がすべて失業に振り替わると、失業率は11%へ-第一生経研
  • 政府の雇用調整助成金制度で休業増、一部は失業に回る-みずほ総研

新型コロナウイルス感染症が拡大する中でも日本の失業率は2%台と低水準で推移しているが、その背後には潜在的な失業者が多数いるとの見方が出ている。4月の緊急事態宣言後に外出自粛や営業自粛が進んだ中で、統計上の失業者には含まれない休業者や労働市場から一時的に退出した非労働力人口が急増したためだ。

  総務省が発表した4月の失業率は2.6%と前月比0.1ポイント上昇にとどまった。就業者6628万人中には実際には働いていない休業者が1割に当たる597万人含まれており、前年同月比で420万人増加した。また、4月に同80万人減少した就業者のうち、7割は失業に含まれない非労働力人口として労働市場から一時退出した。

  第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは、休業者がすべて失業者に振り替わった場合、4月の失業率は11.4%になると試算。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、休業者を加えた不完全雇用率は11.5%、非労働力化した人も加えると12.6%に達すると推計する。

コロナ渦で急増する休業者

失業者だけでは語れない雇用への悪影響

出所:総務省労働力調査

  星野氏は「コロナ要因で増えた休業者がすべて失業者に転じると6%くらい失業率は上がる余地はある」とし、非労働力人口や休業者の増加を踏まえて「失業率だけでみるのはやめておいた方がいい」と指摘。「今回、雇用を多く抱えるサービス業や飲食業など労働集約的なところに特に打撃が及んでおり、製造業に打撃が大きく及んだリーマン時に比べると雇用悪化は大きくなる可能性はある」との見方を示した。

  政府は、自粛期間中も企業が雇用を維持しやすくするため、休業者に支払う手当を助成する雇用調整助成金を拡充。第1次、2次補正予算に2.1兆円を計上し、4-9月まで休業手当の助成率や支給上限金額を引き上げたほか、会社を介さずに休業者自ら休業手当を申請できる枠も設けた。

  みずほ総合研究所の嶋中由理子エコノミストは、「政府の雇用調整助成金制度があったおかげで失業率が上がらず、休業状態にとどまっているのが実態」と説明。「これだけ厳しいコロナの状況を見ると、一部は元に戻らず失業してしまう」とし、4、5月の失業率は3-4%に上昇するとみている。

  政府は予算上の雇調金申請を月最大270万人(月平均176万人)と見込み、休業中の人がすべて申請すると想定を上回ることになる。ただ、実際の申請件数は10万件超と4月の休業者数を大幅に下回る。米国では3月半ばの国家非常事態宣言以降、従業員の一時帰休や解雇の急増で新規失業保険申請件数は累計4000万件を超えた。失業率は4月に14.7%と3月の4.4%から急上昇し、5日発表される5月分は19.1%に達すると見込まれている。

  星野氏は、日本の休業者は米国では一時解雇にあたると説明した上で、「日本の場合は雇用を維持しながら休業することにしているので失業率の数字に出にくいが、実体としては米国と同じようなことが起こっていると考えた方が自然」と語った。

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