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新型コロナ、ニューヨークの被害はなぜ大きいのか-当局者ら要因指摘

新型コロナウイルス感染症(COVID19)によるニューヨーク市の死者数は今週の時点で少なくとも2万1000人に上った。この数はロサンゼルス郡の10倍で、イタリアで最も被害の大きいロンバルディア州の1万6000人をも上回る。英国の人口はニューヨーク市の8倍だが、死者の数は3万7500人前後だ。

  明るい兆しも見え始めている。ニューヨーク市のデブラシオ市長は26日の記者会見で、新型コロナの感染拡大は減速しつつあり、6月半ばまでに経済活動再開に着手できる方向にあると語った。

  だが、重要な問いが依然残る。ニューヨークの被害がこれほど広がったのは、何が原因なのか。ブルームバーグでは新型コロナ対策に関与した当事者の過去の発言を振り返った上で、専門家や米疾病対策センター(CDC)、市長にこの問いをぶつけたところ、ニューヨークの爆発的な感染拡大を招いた大きな要因として以下の点が指摘された。

1.表口は閉じたが、裏口は開いたままだった  

  米国は中国の感染者数が少なくとも1万4000人に上っていた2月2日、中国からの入国をほぼ禁止した。だが、欧州からの入国は3月13日まで禁止されることはなかった。その間に、イタリアの感染者は2人から1万5000人余りへと急増していた。

  米税関・国境警備局によると、3月13日までの1週間にニューヨーク地域の空港には欧州から約44万8000人が入国した。ニューヨーク州のクオモ知事は4月24日、「米国は中国からの入国を禁止して表玄関を閉めた。これは正しかった」としつつ、「裏口は開けたままだった」と発言した。

  新型コロナウイルスの遺伝子変異を調べた米ロスアラモス国立研究所の分析によると、中国から直接持ち込まれたウイルス株はワシントン州で集中的に広がった。だがニューヨークで急速に流行したのは、変異してイタリアで感染を拡大させたウイルス株だった。

New York City's Toll

2.「地下鉄、バスに乗れ」

  ニューヨーク市保健当局トップのオキシリス・バーボット氏は3月2日、「地下鉄やバスに乗り、近所の人に会うなど市民には普段通りの生活を送ってもらいたい」と発言。デブラシオ市長もその翌日、「軽い接触では感染しない。従って地下鉄は問題ではない」と同様のガイドラインを示していた。

  公衆衛生の専門家は現在、そうした理解をほぼ180度転換させている。ニューヨークで1日の新規感染者数が5000人余りとなった4月3日、CDCは公共の場でフェイスカバーを着用するよう人々に呼び掛け始めた。その後の同月、ウイルスが付着した表面を触ることは主要な感染ルートではないもようだとガイドラインを改めたが、オフィスや教会など人が密集する場所での集団感染を示すケーススタディーはその後相次いでいる。

New York City Commuters Urged To Avoid Packed Subway Cars

マスクをしたニューヨーク地下鉄の乗客(3月9日)

写真家:ビクターJ.ブルー/ブルームバーグ

3.完璧な環境

  ニューヨークの公共スペースは、一つの世帯から別の世帯へとウイルス感染を容易に広げる完璧な環境だ。

  地下鉄やバス、コンサートホール、エレベーター、オフィス、混雑した飲食店、高層マンション。米国の他都市では車での移動が多く、密集した建物が少ないなど社会的距離が自然と保たれているが、ニューヨークは人口密度の高さが特徴だ。

  CDCは5月8日のリポートで、米国で最も人口密度の高い行政区画の4つはニューヨーク市内にあると指摘。マンハッタンには1日160万人が通勤する。デブラシオ市長は電子メールでの回答で、同市の大規模な公共交通網を感染拡大の大きな要因に挙げた。

4.ロックダウンの遅れ

  長年にわたるクオモ知事とデブラシオ市長の不和は、いつ、どのような新型コロナ対策をとるかについても続いた。ニューヨーク市は3月15日に学校を閉鎖し、その2日後に市長は外出禁止令の可能性を提起した。クオモ知事はそれは州が決めることだと反対。20日になって不可欠でない全ての経済活動を停止させ、市民に外出禁止を要請した。

  このような要因が挙がるが、同様の人口密集地域に比べてニューヨークの被害が大きくなった理由は依然不明だ。気候や検査体制などが影響しているかもわかっていない。

  CDCの感染症担当副ディレクターのジェイ・バトラー氏は「パンデミックはまだ終わっていないと認識することが重要だ」とインタビューで語った。

原題:
Why New York Suffered When Other Cities Were Spared by Covid-19(抜粋)

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