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国内金融機関保有のCLO、リスクへの懸念くすぶる-金融庁関係者

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による1-3月期のクレジット市場の崩壊は、米国など各国の取り組みによって回避されたが、リスクへの懸念はくすぶり続けている。

  金融庁関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、同庁にとっての懸念の一つは、邦銀が保有する高格付けのローン担保証券(CLO)だ。一部の邦銀は保有するCLOについて、1-3月期に多額の評価損を計上した。CLOは、格付けの低い企業への融資を束ねて証券化したクレジット商品。

  米金融当局が社債購入を含む景気支援策を導入したことを受け、クレジット市場は3月に回復した。ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、米国での同社の格付け対象のうち、数百のCLOについて、格下げの可能性があると発表している。

  同関係者は最上位の「AAA」格のCLOについて、過去にデフォルト(債務不履行)が一度も発生していないことからもともと頑健性があると認識していたが、3月の金融市場の急変動の中で、相応に頑健であることが示されたと指摘。

  ただ、レバレッジドローンの借り手企業の中には、米国の金融支援策等により持ちこたえてきたところもあるだろうが、政府支援のみで倒産を回避し続けることができる保証はないとの見方を示す。

世界のCLO市場で高い存在感

日本の主要金融機関は約13兆円を投資

出所: 会社情報

備考: 三井住友フィナンシャルグループ提供のドル建ての数値を、ブルームバーグが円に換算

  SMBC日興証券のチーフ証券化アナリスト、宮坂知宏氏は、AAA格のCLOの格下げリスクについて、「実体経済がどれだけ悪くなるか」次第だと指摘。「今より悪くなればそのリスクも高くなる」とみている。

  当局による金融機関のCLO保有への懸念は強まっている。日本銀行は昨年10月に公表した金融システムリポートで、リーマンショック時にはAAA格のうち相応の額がAA格に格下げされており、「AAA格でも1割程度の価格下落が発生するほか、AA・A格に格下げされた場合には、2割から3割の価格下落が発生する」と分析している。

  格下げされれば銀行にとってリスクが高まるため、資本コストの上昇につながる可能性がある。

  開示情報によると、主要5行が保有するCLOの総額は3月31日時点で約13兆6000億円。保有額が最大の農林中央金庫の1-3月のCLOの評価損は4000億円超に上った。これを受け農林中金は今週、新規のCLO投資には引き続き抑制的な姿勢で取り組む方針を示した。

  一方、2019年度末に約1219億円の含み損を計上したゆうちょ銀行は、リスク管理など適切なコントロールをしながら、今後もCLO保有を増やしていくとしている。

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