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シマノ社長、下期に業績回復見込みー「密から疎」へのギアチェンジで

  • アジア主要工場で増産へ、自社内サプライチェーン改革が課題
  • 上場来高値水準、期待先⾏での株価形成の可能性もーアナリスト

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて自転車活用の増加傾向に注目が集まる中、自転車部品を生産するシマノの島野容三社長はブルームバーグのインタビューで、下期(7ー12月期)に業績が「かなり回復すると見込んでいる」と話した。

  島野氏は、現在欧米諸国では小売価格が1600ドル(約17万円)前後の自転車の販売が好調で、「密から疎への動きが広がっている中で、アウトドアスポーツが注目されており新規に自転車を購入する人が増えている」と分析している。

Shimano Handout Images

シマノのフラッグシップ製品

Source: Shimano Inc.

  この価格帯の自転車に装着される部品の受注が急増したことから、「主力のアジアの工場を中心に増産の準備を完了した」ことを明らかにした。同社はブレーキやチェーン、変速機などの自転車部品を製造し完成車メーカーに販売している。

  感染拡大で各国の政府が工場の操業停止や移動制限などを求めたことから、同社では自社内のサプライチェーン上の課題が浮き彫りになっていた。売上高ベースで製品の半分を国内で、残り半分をシンガポールやマレーシア、中国などで生産しているが、それぞれの工場で製品を完成させることはできず、「別工場で作っている部品が一つでも欠けると完成しない製品があった」という。

Shimano’s Chief Executive Officer Yozo Shimano

島野容三社長

Source: Shimano Inc.

  そのため、島野氏は生産を一気に縮小せざるを得なかったと明かした。今後はそれぞれの工場で製品が完成するようサプライチェーンの見直しを進め、さらに強固な生産体制を構築する方針だとしている。

  同社が4月28日に発表した第1四半期(1-3月期)決算では、営業利益が前年同期比22%減の127億円と厳しい結果となった。売上高の4割を占める欧州で行動制限が広がり販売が鈍化、市場在庫が急速に増加したことなども背景にある。同社は新型コロナの影響などを踏まえ、今期(2020年12月期)の業績予想を取り下げ未定とした。

  同社の株価は5月25日の取引時間中に上場来高値となる2万600円を付けた。新型コロナの業績影響懸念が一気に高まった3月17日の日中安値から59%の上昇となり、同期間の東証株価指数(TOPIX)の上昇率を大きく上回った。

株価は上場来高値圏

  モルガン・スタンレーMUFG証券では、株価の急上昇を受けて投資家からの問い合わせが急増。井原芳直アナリストらは5月20日付のリポートで、「コロナ後の勝ち組銘柄という投資テーマに合致する銘柄としての評価が高まった」と指摘した。   

  しかし、特定のキーワードの検索状況を調べられる「グーグル・トレンド」上で、日本国内での「⾃転⾞通勤」の検索回数にほとんど変化がないことや、通勤せずに在宅勤務を継続するという選択肢もあることなどから、「期待先⾏で株価形成が⾏われている可能性が高い」との見解を示した。

  一方、岩井コスモ証券の饗場大介アナリストは、シマノは生産規模の拡大に苦戦しており、部品調達が改善するなら生産増強に必要な時間を短縮でき株価にとっては「ポジティブ」とみる。自粛影響で自転車競技イベントなどが中止となり、30万円以上の高価格帯の完成車販売に懸念が残る一方で低価格帯の需要の伸びが期待されていることから、今後の販売比率の変化が気になると指摘した。

  シマノは21年に創業100周年を迎える。島野氏は新たな取り組みの一環として、IT技術を活用した自動車との事故防止システムの開発や、最適な運動ができるようなセンサーを組み込んだ「スマート」な自転車の一般向け商用化などについて検討中だと話した。

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