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日銀が資金繰り支援へ新制度決定、総枠75兆円に-金融政策は維持

更新日時
  • うち新たな資金供給対象は30兆円、期限を21年3月末まで半年延長
  • 資金繰り支援と市場安定に努める、必要なら躊躇なく追加緩和
黒田東彦総裁

黒田東彦総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
黒田東彦総裁
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行は22日に臨時の金融政策決定会合を開き、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けている中小企業などに対する新たな資金供給制度の導入を決定した。コマーシャルペーパー(CP)・社債買い入れや既存の貸し出し措置と合わせて総枠約75兆円を資金繰り支援のための特別プログラムとして用意し、期限を2021年3月末まで半年延長した。当面の金融政策運営は、現状維持を賛成多数で決めた。

  新たな制度は、緊急経済対策における無利子・無担保融資や、感染症対応として信用保証協会の保証認定を受けた制度融資のほか、コロナ対応として金融機関が独自に実施している融資も1先当たり1000億円を上限に貸し付け対象とする。貸付期間は1年以内。金利ゼロ%で貸し付けを行い、利用残高に相当する当座預金にプラス0.1%の付利を行う。5月末時点の金融機関の融資実績を踏まえ、6月に制度をスタートする。

  同制度は、4月27日の前回会合で黒田東彦総裁が執行部に新たな資金繰り支援制度の早急な検討を指示していた。

BOJ Governor Haruhiko Kuroda Arrives For Emergency Meeting

臨時会合出席のため日銀に到着した黒田総裁

Photographer: Toshitaka Nishi/The Yomiuri Shimbun/Bloomberg

  日銀によると、新たな制度の資金供給対象は約30兆円。日銀がコロナ対応として打ち出してきたCP・社債買い入れの拡大(残高上限は約20兆円)や、3月に導入した「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ」(資金供給対象は約25兆円)と合わせ、総枠約75兆円を「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」として確保した。

  日銀では、こうした対応によって「企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく」とし、当面は新型コロナの影響を注視して「必要があれば、躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」方針を改めて表明した。

  当面の金融政策運営については、短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する長短金利操作付き量的・質的金融緩和の維持を賛成多数で決定。国債買い入れについて「上限を設けずに必要な金額の長期国債の買い入れを行う」ほか、上場投資信託(ETF)やCP・社債などの資産買い入れ方針の維持を決めた。

  会合では、長短金利操作の維持に片岡剛士審議委員が「長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましい」として反対した。黒田総裁の記者会見は行われなかった。

エコノミストの見方

野村証券の桑原真樹シニアエコノミスト

  • 既定路線で特にサプライズもなく、企業の資金調達を円滑にする方向でできることをやるという、今やるべきことをやったと思う
  • 企業支援の額は十分かどうかは分からないが、小さいようにも思えない。とりあえずやってみて、必要ならさらに追加するということもあり得る
  • 日銀は現状、物価よりも経済の下支えを最優先している。そもそもモメンタムという言葉やめてしまっているので、物価を見て金融政策を変えますということではなくなってしまった
  • 逆に言えば、金利を引き下げるというのも当面はないと思っている。物価のモメンタムを上げていくような政策は少なくとも当面は行わないだろう

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト

  • 何か新資金供給制度に加えてプラスアルファがあるかと思っていた。黒田総裁の記者会見で何か政策をアピールするのかと思っていたが、そうではなく完全に事務的内容で、決まったことは早くやるということ以外はなかった
  • 間違いなくこれからデフレの状況は表れてくるので、今決められたこと以上の政策を日銀はやらないとつじつまが合わなくなる
  • 私の評価としてはもう量的緩和も金利による緩和も限界なので、質的緩和をやらざるを得ないということ。その観点からすると、日銀は最大限にできることをよくやっていると思う
(エコノミストのコメントを追加して更新しました)
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