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地銀の有価証券運用に難しさ、リスク投資の流れに水差すーコロナ影響

  • 世界中で進む低金利環境下で投資先を探すのが困難にーアナリスト
  • 収益環境厳しく地銀再編の流れが1年後には加速するとの見方も

新型コロナウイルス感染拡大の影響が地方銀行の経営に及んでいる。全国の地銀が公表した前期(2020年3月期)業績は保有株式の評価損などを主因に軒並み減益となった。今期(21年3月期)の純利益予想も全体では2割減となる見通し。与信関係収支の悪化のほか、収益強化に向けて取り組んできた有価証券運用でも厳しさが増すとみられる。

  全国地方銀行協会の笹島律夫会長(常陽銀行頭取)は20日、書面を通じた定例会見で「新型コロナの影響で地銀の有価証券運用が従来以上に難しさを増している」との認識を示した。金融緩和で先進各国の長期金利が低下する中、国債への投資のみでは運用が困難だと指摘。加えて「市場がボラタイルな動きとなっているため運用が難しくなっている」と述べた。

  長引く低金利環境や人口減少から、全国の地銀は収益源の多角化を求めて有価証券運用を強化してきた。SBI証券の鮫島豊喜アナリストは、地銀の運用方針が国債の満期保有から「リスクを考えながらの運用に変わりつつあるフェーズにあった」とした上で、「これまで利回りを求めて米債といった外国債などを増やしてきたが、投資先を探すのが大変になった」と指摘する。

  JPモルガン証券の西原里江アナリストは、企業活動停止など短期的な影響の後も、有価証券運用を含むビジネス環境は厳しいとみられ、地銀再編の流れは1年後には加速していくとの見方を示した。

  ブルームバーグが地銀98行を対象に行ったアンケートでは、金融市場の変動でリスク資産への投資に慎重となるなど有価証券運用の見直しを迫られていることが浮き彫りとなった。アンケートは3月5日から31日にかけて電子メールで行った。主な回答は以下の通り。

運用方針への影響

  新型コロナ感染拡大が有価証券運用や投融資計画にどう影響するかについては、22行が自由記述方式で回答した。回答の締め切りが、4月7日発令の緊急事態宣言前であったことから、「現時点では影響は不明」「大きな影響はない」と答えた金融機関もあった。

新型コロナによる有価証券運用・投融資計画への影響
  • 海外金利の低下で運用計画の前提条件が大幅に変更となった
  • 含み益減少により有価証券部門の収益ポテンシャルが低下した
  • ボラティリティーが高止まりする中、流動性に配慮しながらリスク資産への投資は慎重姿勢で臨む
  • 有価証券の収益ポテンシャルが低下した。不動産投資信託(REIT)に対する懸念が高まり、割安と考えても投資しにくくなった


有価証券の運用体制

  有価証券の運用担当者の人数は2-5人が55%で最も多く、10人以上が18%だった。自社のビジネスモデルを踏まえて最適な資本配分や収益最大化を図る経営管理の枠組み「リスク・アペタイト・フレームワーク」を活用している銀行は8行(36%)にとどまった。導入はしていないが検討しているのは13行(59%)だった。

有価証券の運用担当者の人数
  • 1人  (4%)
  • 2-5人(55%)
  • 5-10人(23%)
  • 10人以上(18%)

外部委託

  有価証券運用の外部委託については「既に委託している」が2行(9%)だった。年内に委託を検討すると答えた1行は「当行だけの運用に限界を感じて感じており、外部委託も選択肢」と記述した。一方、19行(86%)が「検討するつもりはない」と答えた。

有価証券運用の外部委託を検討しない理由
  • 現状で特に支障はない、現状の態勢を変更する理由がない
  • リスクを抑制した運用方針であるため現状で問題はなく、費用もかかる
  • 自己の判断を重視している

国債償還資金

  国債の償還資金の再投資先については、回答した21行のうち19行が国内株式・社債を挙げた。

国債の償還資金の再投資先(複数回答)
  • 国内株式・社債(19行)
  • 外国株式・社債(6行)
  • 外国国債   (7行)
  • オルタナティブ投資など(10行)

    

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