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新型コロナ、起源や中間宿主に残る謎-ステルス感染継続の懸念も

  • 新型コロナは中国の野生環境から人口密集地にどう入り込んだのか
  • 第2波のリスクを減らすには、感染経路たどる必要-中国の協力必須

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスはどうやって中国の野生環境から人口密集地に入り込んだのか。また、どのような変異をたどり、ここまで完璧な「ステルス性大規模感染」を引き起こす病原体となったのか。

  新型コロナの起源を知ることは、世界で27万人余りの命を奪い、大恐慌以来で最悪となりそうな経済崩壊を引き起こしたパンデミック(世界的大流行)を止めるための重要な一歩だ。

  新型コロナはワクチン開発が進んでいるものの予防接種が受けられるようになるのはまだ先の話であり、治療方法もまだ確立していない。感染の第2波到来や新種のウイルス出現のリスクを減らすためには、これまでの感染経路を世界中でたどる必要がある。それは、2019年のどこかの時点で感染が最初に始まった中国に戻ることを意味する。

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武漢市の赤十字病院に患者を搬送する医療関係者(1月25日)

写真家:Getty Images経由のHector Retamal / AFP

  

  中国の習近平国家主席は、感染がどう始まったかなどについての同国での科学的研究を厳しい管理下に置いている。事情に詳しい2人の関係者によると、論文などの発表は当局の事前承認がなければできない。

  世界的な衛生危機の発生から約半年が経過したが、新型コロナにはまだ分かっていないことが非常に多い。そうした未解明の疑問は、これ以上の感染拡大や将来のパンデミック阻止に障害となるのと同時に、ウイルスの発生源をめぐる米中の非難合戦をあおる要因にもなっている。

  新興感染症の約70%は動物由来だ。ゲノムの解読により、新型コロナはコウモリ由来の他の2つの高病原性コロナウイルスに関係していることが分かっている。

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閉鎖された武漢市内の水産物卸売市場を調査する衛生当局者(1月11日)

Photographer: Noel Celis/AFP via Getty Images

  02年に中国で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)はハクビシン、中東呼吸器症候群(MERS)はラクダを介したヒトへの感染がそれぞれ疑われている。

  世界保健機関(WHO)の専門家ピーター・ベン・エンバレク氏によると、新型コロナもコウモリ由来と考えられるが、ヒトに感染させた中間宿主を特定するには至っていない。「ウイルスの起源とヒトへの感染が始まった時期の間にはミッシングリンクがある」と同氏は語り、連続性に間隙(かんげき)があると説明した。

  未解明の部分は、中間宿主の動物が今もヒトへの感染を広げているという不穏な可能性を提起する。WHOの研究者は8日、ペットのネコが他のネコにウイルスを感染させる可能性があると報告した。ただ、ネコからヒトへの感染は証拠がまだないとしている。

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バンコクの猫カフェでネコの体温を測定する従業員(5月8日)

Photographer: Lillian Suwanrumpha/AFP via Getty Images

  非営利団体エコヘルス・アライアンスの疾病生態学者、ピーター・ダシャック氏は、新型コロナの感染が始まったのは現在想定されている昨年12月より前で、武漢以外の場所だった可能性さえあるとみている。同氏の推定によれば、中国南部と東南アジアでは毎年100万-700万人がコウモリ由来のウイルスに感染するが、ヒトからヒトに大半は簡単に広がらない。

  重要な問題の一つは、新型コロナがコウモリから直接ヒトに移ったのか、それとも二次感染源を経由して移ったのかということだ。後者の場合、家畜や野生動物が依然として感染を広げている恐れがある。

  ウイルスの最終的な起源を突き止めるには、中国政府の協力と少しの運が必要だ。調査を行う研究者は武漢の市場、野生動物の販売業者、患者データ、動物の個体数などに自由にアクセスする必要がある。  

  新型コロナの起源を隠せば、大きな代償が伴うだろう。現在の危機から得られる教訓は、人口の増加で人間が野生動物の生息地を奪うにつれ、動物由来の危険なウイルスによるリスクは増大し続けるということだ。動物由来の新たなウイルスの研究と監視を改善し、伝統的な市場と野生動物の取引を世界的に規制しなければ、将来のパンデミックのリスクは高くなる。

  「何もせず、過去50年間やってきたことを続けていれば、次のパンデミックが起こるだろう」とダシャック氏は語った。

原題:
What We Don’t Know About Coronavirus Origins Might Kill Us(抜粋)

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