抗マラリア薬巡り更迭-ワクチン開発支援の米政府機関元トップが主張
Anna Edney、Robert Langreth-
コロナ治療薬としては「科学的な根拠が欠如」とBARDA前局長
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ブライト氏は突然解任され、NIHのより権限の狭い役職に異動
新型コロナウイルスワクチン開発を支援する米政府機関の元トップは、抗マラリア薬の使用を制限するよう主張したために更迭されたと指摘した。新型コロナウイルス感染症への効果が臨床でほとんど立証されていないにもかかわらず、トランプ大統領は同薬の効果を繰り返し強調している。
米厚生省の生物医学先端研究開発局(BARDA)の局長を務めていたリック・ブライト氏は21日に突然解任され、米国立衛生研究所(NIH)のより権限の狭い役職に異動になった。
ブライト氏は22日、弁護士を通じて発表した声明で、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンとクロロキンは「科学的な根拠が明らかに欠如している」と指摘した。

リック・ブライト氏(2018年)
フォトグラファー:トヤ・サルノ・ジョーダン/ブルームバーグ
同氏は「私は有効な治療法についてあらゆる選択肢に目を向け、既成概念にとらわれない方針だったが、証明されていない医薬品を需要に応じて米国市民に提供する取り組みには正当に反対した。これら医薬品は新型コロナへの感染が確認された入院患者に対し医師の監視下という条件に限って投与されるべきだと主張した。こうした患者に関連して深刻なリスクが考えられる」とした。
ブライト氏への直接取材を試みたが、連絡は取れていない。トランプ大統領は22日夜の記者会見でブライト氏について問われ「その人物を知らない」と述べた。
BARDAは先月、国家備蓄と新型コロナ入院患者への投与で米食品医薬品局(FDA)からヒドロキシクロロキンとクロロキンの緊急使用許可(EUA)を取得した。BARDAは国家備蓄を管理する。
ただ、政治メディアのポリティコは22日、BARDAの戦略を含めブライト氏のかじ取りをトランプ政権幹部が批判していたと、匿名の関係者を引用して報じている。
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原題:
U.S. Health Official Says He Was Ousted Over Malaria Drug (2)(抜粋)