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トランプ大統領のWHO批判、国際的な協力関係の破綻を加速へ

  • 世界的なリーダーシップを巡る中米のライバル関係も背景
  • テロ対策や核拡散防止、気候変動などでの協力も阻害の恐れ

新型コロナウイルス感染拡大への対応を巡り、トランプ米大統領は世界保健機関(WHO)に対する批判を展開している。中国の主張をうのみにし、情報共有を怠ったというのが主な理由だ。

  WHOは各国が世界的な危機に対処するのを支援する目的で創設された国際機関の1つとして、他の国際機関と同様にトランプ氏の攻撃対象となっている形であり、今後の危機への対応能力が損なわれることになりかねない。

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  トランプ氏は14日、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)のさなかにあって、WHOへの資金拠出を一時停止する方針を打ち出した。そしてこの動きは、世界的なリーダーシップを巡る米国と中国との一段と広範囲にわたる闘争の新たな火種でもある。

  米中はそれぞれパンデミックへの自国の対応の不備を取り繕いつつ、他の国々や世論を味方に付けようとし、感染拡大収束後の世界を見据えて有利なポジションを確保しようとしている。

Members Of The Coronavirus Task Force Hold Press Briefing

トランプ大統領(4月14日)

Photographer: Stefani Reynolds/CNP/Bloomberg

  初期対応の不手際で広く批判を浴びた中国は、感染拡大で最も深刻な打撃を受けた国々に医療物資を送る取り組みを強化している。ただ、その多くに欠陥や期限切れが見つかったことが報じられている。

  一方で米国は、感染拡大と闘う国々への3億ドル(約324億円)の支援を発表しながら、最も不可欠とされる物資への要請ははねつけ、エジプトや台湾、ベトナムなどからの提供は受け入れている。

  世界で最も豊かな国である米国がパンデミックに対処するのに必要な品々を自国にため込む一方、リーダーシップの役割を引き継ごうとする取り組みに中国がもたついている現状は、新型コロウイルス感染症(COVID19)特定から数カ月が経過した厳しい現実を反映している。

  感染拡大との闘いで世界的なリーダーは不在であり、通常は米政府や中国政府に支援を期待する国々にとって、米中ともに力不足であり、頼れる国がないことが明白となっている。

両国に「報いがあるだろう」

  米戦略国際問題研究所(CSIS)で中国を研究する ジュード・ブランシェット氏は、「トランプ政権はこの問題で完全に大失敗する可能性があり、それは中国も同じだ」とした上で、両国にその「報いがあるだろう」と付け加えた。

  トランプ氏が表明したWHOへの資金拠出停止の方針は国連や世界貿易機関(WTO)、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)などが直面している圧力をあらためて浮き彫りにするものでもある。そしてこうした圧力の多くの部分を米中対立がますます煽(あお)る形となっている。

  国際的な協力関係への長期的な打撃はウイルス感染拡大の問題にとどまらず、テロ対策や核拡散防止、気候変動対策などの取り組みを阻害する恐れがあると専門家は指摘する。

  米外交問題評議会(CFR)のシニアフェロー、スチュアート・パトリック氏は「現在のポピュリズムの潮流は非常に強力であり、国際協力の面で指導者が行動する志向も、それに伴う見返りももはやない。こうした機関が弱体化し、衰退するリスクが高まっている」と警告した。

原題:Trump’s WHO Attack Accelerates Breakdown in Global Cooperation(抜粋)

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