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コロナ禍もたらす円高リスク、長期化なら1ドル=100円割れとの声も

  • 新規対外証券投資は期待薄、海外資産処分なら「膨大な円転圧力」
  • 中長期的には貿易収支悪化などが円安要因との見方も

新型コロナウイルス感染の収束が見えない中、ドル・円相場は当面、円高リスクの高い状況が見込まれている。米金融当局による流動性供給でドル需給ひっ迫が和らぎ、米金利低下がドル安圧力となる。加えて、新年度入り後の対外投資はコロナによる先行き不透明感が強い中で盛り上がりは期待できない。秋までコロナの影響が続けば、1ドル=100円割れが視野に入るとの見方も出てきた。

  シティグループ証券は4-6月のドル・円の下限を100円程度と想定。高島修チーフFXストラテジストは、世界的なドル不足など3月にドルを支えた需給要因がはく落し、「米金利低下などに象徴されるファンダメンタルズ水準」へ回帰すると予想する。FRB(米連邦準備制度理事会)とトランプ政権の「マネタイゼーション的な政策」がドル安・円高圧力になるとみる。

米国の2兆ドル規模の景気対策についてはこちらをご覧ください

  

1990年以降で最小

  円安要因となり得る対外証券投資だが、コロナ巡る不透明感が強い中では、国内投資家がリスク量を増やさないよう保守的な運用に動きやすい。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「少なくともゴールデンウィークぐらいまでは大きく出ることはない」と予想。シティG証の高島氏は、米金利水準がこれだけ下がると「直観では100円以上で生保が手放しでドルを買って米債に行けるとは考えられない」とみている。

  このまま新型コロナの影響が長期化した場合、国内勢による海外資産の処分を招きかねず、その「円転圧力は膨大」と警戒するのは三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの関戸孝洋ジャパンストラテジスト。1000兆円以上ある日本の対外資産のすべてが為替ヘッジされているわけではなく、「仮に半分として500兆円の円転があり、ドル・円が10円落ちることは想定しておかなければならない」と指摘。「秋ぐらいまでみると、100円割れのリスクは視野に入ってこざるを得ない」という。

  新型コロナウイルスの感染者は、全世界で180万人超。中でも感染者が最も多いのは米国で約54万人に達し、次いでスペイン、イタリアとなっている。野村証の後藤氏は、欧米の感染拡大にピーク感が出て5月前半から半ばに経済正常化への道筋が見えてくれば、ドル・円も105円割れから持ち直すが、感染拡大の第2波などで、こうしたメインシナリオが遅れるリスクはあると予想した。

  もっとも、中長期的には円安圧力が強まるとの見方もある。JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、原油安で輸入も減るが「これだけマクロに対してインパクトのある事象であれば極端に輸出が減り、貿易赤字になることもあり得る」と指摘。「足元で買わなかった対外投資の分も後から買うことになるだろうし、中長期的には円安ファクターの方が大きい」とみている。

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