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習政権のリスク映す省境の衝突-経済再開と感染拡大阻止の両立可能か

  • 潜在的な安定リスクを「薄氷を踏むように」気に掛けるよう呼び掛け
  • 衝突が別の場所に広がることを中央政府は心配する-南京大教授

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が世界経済に打撃を与え、数百万の人から仕事を奪おうとする以前から、中国の指導者は14億人の国民を前に社会的安定を維持するために多くの時間と資金を費やしてきた。

  ウイルス感染拡大で大打撃を受けた湖北省の省境で週末に珍しく路上での衝突が発生した。国内の感染拡大を抑制したとも見受けられる中国が経済活動の再開をにらむこの時期に、こうしたいざこざは習近平国家主席が直面する課題を浮き彫りにしている。

  湖北省に講じられた2カ月に及ぶロックダウン(封鎖措置)は省外への感染拡大抑制に寄与し、ようやく解かれつつある。ソーシャルメディアに投稿された動画は、省境の封鎖を続けたい江西省からの警官と湖北省の警官がぶつかっている様子を捉えている。武装した警官が住民を抑える中で、「湖北がんばれ」との声も周囲から聞こえる。

  北京の調査会社トリビアム・チャイナのパートナー、トレイ・マッカーバー氏は「新型コロナ感染拡大前から中国の指導者はすでに安定について懸念していた」と指摘。「そうした心配は今や、極端になっている」と語る。

  共産党幹部は最近、ウイルス感染で副次的に生じ得る社会不安に対する懸念を表明。国防より国内の治安に多くの資金を投じている中国では、事実上の一党体制を敷く共産党が反対派を鎮圧する極めて多数の手段を持つが、労働争議や投資詐欺、環境災害といった生計に関わる問題を巡る怒りの噴出を抑えるために地方当局が難しい対応を迫られることも多い。

  党中央政法委員会の郭声琨書記は党幹部を対象とした先週の全国テレビ会議で、潜在的な安定リスクに対し「薄氷を踏むように」常に気を配るよう呼び掛けたと29日発行の法制日報が報じた。顕在化しつつある問題に予防的かつ的を絞った措置を講じることも求めたという。

  湖北省の当局者は同省からの出稼ぎ労働者をできるだけ早く仕事に戻らせるよう圧力を受けていると南京大学の顧粛教授(哲学・法学)は言う。同省は沿海部と北京首都圏にある産業の集積地で働く600万人を送り出していると指摘し、「同じような衝突が別の場所に広がり得ることを中央政府は心配するだろう」と話す。 

  結局のところ、中国にとっての大きな問題は人々の仕事復帰を確実にすることだ。党総書記でもある習国家主席は29日、東部浙江省で自動車部品を生産している工業団地と港湾での生産再開の様子を視察した。

  トリビアムのマッカーバー氏は「できる限り早く経済を再開させる必要がある中国政府は、同時にウイルス感染拡大の再発を阻止しなければならない。両方の目標が達成可能かどうかは分からない」と述べている。

原題:China Clashes at Virus Epicenter Show Risks Facing Xi Jinping(抜粋)

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