, コンテンツにスキップする
Subscriber Only

終息見えぬ新型コロナ、東京五輪延期で解散戦略も「ご破算」か

  • 五輪の1年程度延期と自民総裁任期、「全く関係ない」と橋本五輪相
  • 安倍首相が次の総理にふさわしい人で1位再浮上-産経・FNN調査

安倍晋三政権のレガシー(政治的遺産)となるはずの東京五輪・パラリンピックが1年程度延期されることが決まった。新型コロナウイルス感染症の終息は見通せず、経済も深刻な打撃を受ける中、今年夏の五輪開催と来年秋の自民党総裁選を前提に描かれていた政治シナリオは全面的練り直しを迫られている。

  政策研究大学院大学の竹中治堅教授は、東京五輪が中止ではなく延期で「割合早くまとめられた」ことは、「安倍首相の意思決定の速さ」であると評価する。これまでは今年の東京五輪開催と政治日程は当然関連していたと指摘するが、新型コロナの感染拡大により「それは全部ご破算だ」との見方を示した。

  政界ではこれまで、公明党の山口那津男代表が秋以降の衆院解散の可能性に言及するなど、予定通りの7月五輪開催を前提にした政治日程が取り沙汰されていた。日経新聞によると、自民党の二階俊博幹事長は今月25日の都内での講演で、東京五輪延期の解散判断への影響については五輪と解散を一緒にしてもらっては困る、解散すべき時は解散すると語った。

  読売新聞が20-22日に実施した世論調査では、東京五輪の開催を「延期する方がよい」とした人は69%に上っていた。新型コロナウイルスを巡る日本政府のこれまでの対応を「評価する」は53%で、2月の前回調査の36%から上昇し、「評価しない」39%(前回52%)を逆転した。内閣支持率は48%と前回調査の47%からほぼ横ばいだった。

  日本政治が専門の早稲田大学のレーニ―・デービッド教授は、安倍首相が判断を下し、責任ある存在であるとみなされることは、「彼の当面の利益になると思う」との見方を示す。首相は、出席者の少ない「憂うつな」東京大会開催という悪い選択肢を避けたとも語った。

  五輪延期により、今年7月24日の五輪開幕からパラリンピックが終了する予定だった9月6日まで約6週間、安倍首相の政治予定が空くことになる。この期間に解散・総選挙を実施することは可能だが、新型コロナ感染が収束していない場合、街頭での選挙キャンペーンは難しくなる。

自民総裁任期

  21年夏の開催であれば、同年9月までの安倍首相の自民党総裁任期満了直前となる。25日の参院予算員会では、立憲民主党の田島麻衣子氏が、延期幅は総裁任期に合わせたものではないかと指摘。橋本聖子五輪相は、「全く関係することではない」と政局との関わりを否定した。

  23日に公表された産経新聞とFNNの合同世論調査では、次の首相にふさわしい政治家として、安倍首相が18.8%と昨年9月調査以来のトップとなった。2位は自民党の石破茂元幹事長、3位は小泉進次郎環境相だった。2月の前回調査などでは自民党の石破氏が首位だった。産経は新型コロナウイルスの感染拡大が欧州や米国で深刻化する中、政府の感染防止対策が評価されたようだと分析している。

  自民党の二階幹事長は25日の都内での講演で、今は安倍さんに任せることが大事だと国民のほとんどが思っていると述べ、首相の総裁4選を改めて支持する意向を示したとも日経は報じている。

  竹中氏は新型コロナへの対応について、経済影響と感染拡大防止のバランスをどうとるかなど「まだまだかじ取りは難しい」とした。こうした中で、政権支持率が安定しているのは、「ほかに他に変わり手がいないからだ」とも述べた。 

  東京都は25日、これまでで最多の41人の新たな感染者を発表。小池百合子都知事が「オーバーシュート、感染爆発の重大局面」として週末は不要不急の外出を控えるよう都民に要請するなど日本でも楽観できない状況が続いている。安倍首相は26日、特措法に基づく対策本部の設置を西村康稔担当相らに指示した。

(注:産経・FNNは2020年6月19日付で、世論調査不正発覚に伴い19年5月~20年5月分の世論調査結果を削除しています)
  

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE