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未踏の五輪延期に難題、巨大船を転回できるか-膨大な作業や追加費用

  • 追加費用約4200億円と識者試算、競技団体は強化費用に不安
  • 大会会場の設備業者は指示待ちで動けず、解体か設置維持か対応不明

東京五輪・パラリンピックの延期決定を受け、大会組織委員会や東京都など関係団体は、競技場の借り換え費用や人件費など追加費用の算出に着手する。新型コロナウイルスの感染拡大が経済に影響を及ぼす中、史上初の延期開催となる五輪の実現には膨大な作業や追加費用の捻出という難題が立ちふさがる。

  「どうやって延期を実現するのか、簡単なことではない」。東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長は24日夜、1年後の開催に向けて膨大な作業が伴うとの見通しを示した。大会用に設営した会場をいったん解体して再び設置するより、1年間借りたままにするケースも想定され、「どのくらい費用がかかるのか全く数字を持ち合わせていない」と述べた。

  東京五輪の費用は計約1兆3500億円。国内スポンサー企業からの3480億円が大きな収入源のほか、チケット収入が約900億円、国際オリンピック委員会(IOC)からの負担金が約850億円あるが、4カ月後に大会を控え、収入の多くはすでに会場整備費などに充てられている。

  英オックスフォード大学ビジネススクールの教授で、五輪開催費用についての著書があるベント・フリウビヤ氏は「この規模のプロジェクトの変更は、巨大コンテナ船をUターンさせるに等しい」と実現の困難さを指摘する。

  関西大学の宮本勝浩名誉教授は、東京五輪の1年延期に伴う費用を約4225億円と推計する。競技場や選手村など施設の維持・修理・管理のほか、各種スポーツ団体が改めて選抜試合を開催するための費用などを試算した。日本経済新聞は25日、組織委員会は大会延期による追加費用を約3000億円と試算していると報じた。

Olympics Stadium and Other Venues As Coronavirus Cast A Shadow Over Travel and Tourism

選手村の様子(2月19日)

指示を待つ契約業者

  大会会場にイベント設備をレンタルするある契約業者は、延期決定を受けて設営作業を中止したものの、今後の対応は不明だという。設置済みの設備を解体すると費用がかかり、設置したままだと1年分のレンタル費用が必要となる。

  この業者は、日本オリンピック委員会(JOC)か東京都の担当者が現場を確認して指示を出すのを待っている述べた。また、年内で契約期間が終了するが、改めて入札が必要になるのかは知らされていない。

  4年かけて選手の強化・選考を進めてきた競技団体にとっても延期によるコスト増は想定外だ。JOCの山下泰裕会長は25日、選手強化費用をさらに1年受け取り続けることに国民から理解が得られるか分からないとの不安を示した。

  また、新型コロナの感染拡大が経済に悪影響を与えている中、スポンサー企業への支援要請は容易ではないとして、「切り詰めるところは切り詰める」と各競技団体への対応を求めた。

  大会を成功させるためには新型コロナの感染対策も不可欠で、政府は現金給付も含む緊急経済対策を検討している。橋本聖子五輪担当相は24日の会見で、東京五輪の成功に向けた政府の最優先課題は、新型コロナ収束への結束だと述べた。

  大会費用は、組織委員会が6030億円、東京都が5973億円、国が1500億円をそれぞれ負担している。今後の追加費用を誰が負担するのかについて組織委員会の武藤氏は「検討課題だ」と延期決定後の会見で語った。

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