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東京五輪、来年夏まで延期-新型コロナ感染拡大でIOC承認

更新日時
  • 安倍首相提案をバッハIOC会長が同意、延期は史上初めて
  • 26日開始の聖火リレーは中止、コスト負担は今後の課題に

国際オリンピック委員会(IOC)は24日、7月から開催予定だった東京五輪・パラリンピックを1年程度延期し、遅くとも2021年夏までに開催すると発表した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた措置で、五輪の開催延期は史上初となる。

  IOCのバッハ会長は電話による記者会見で、選手はじめ五輪大会に関与する人や国際社会の人々の健康を守るため、安倍晋三首相との電話会談で「20年以降かつ21年夏までの時期に開催予定を変更する必要がある」との方針で合意したことを明らかにした。

  バッハ会長はその後開いたIOC理事会がこの合意を承認したと説明。安倍首相と新たな日程について協議することなかったとし、東京大会の調整委員会と組織委員会に任せる方針を示した。

  バッハ会長は、東京五輪を新型コロナのパンデミック(世界的大流行)という「前例のない危機を人類が克服した祝祭とすることができるよう」、安倍首相と共に期待を表明した。

Olympics Logos as Japan Minister Says Tokyo Games Postponement 'Inconceivable'

日本オリンピックミュージアム(都内)

  これに先立ち、安倍首相は24日夜(日本時間)のバッハ会長との電話会談で1年程度の延期を提案し、遅くとも21年夏までの開催で合意したと記者団に明らかにした。中止はないことも確認した。電話会談には組織委員会の森喜朗会長、東京都の小池百合子知事、橋本聖子五輪相らも同席した。

  延期の理由について安倍首相は「世界のアスリートが最高のコンディションでプレーでき、観客にとって安全で安心な大会とするため」と説明。開催時期は現在の状況を踏まえれば「年内ということは難しい」とも述べた。

  120年以上続く五輪史上、夏季大会は戦争でこれまで4度中止になったことがあるが延期になった例はなく、東京五輪が延期されることになれば、史上初となる。

  小池知事は記者団に、電話会談では年内開催はないと確認されたと説明。その上で、「来年夏までというゴールが具体的になったことで、選手にとって目安ができることが大きい。東京都も次の目標に向かって国、組織委員会などと連携しながら進めていく」と語った。東京2020の名称はそのままという。

  組織委の森会長は同日夜の会見で、延期合意に伴い26日からスタート予定だった聖火リレーを中止すると表明、大会に合わせて新たな日程を設定することを明らかにした。21年大会の規模は今後検討すると述べた。

  同委の武藤敏郎事務総長は、延期に伴い、場合によっては今後1年間借り続けなければいけない競技会場が出てくる可能性もあると指摘。現時点で延期に必要な費用がいくらになるかとの想定は「持ち合わせていない」とし、コストを誰が負担するかは「今後の検討課題だ」と述べた。 

  日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は25日、都内で記者会見し、延期について「アスリートの安全を第一に考えた苦渋の決断であり、理解していただきたい」と述べた。その上で、「方向性は決まった。前向きに捉えて気持ちをリセットして21年に向けてさらにしっかりとした準備をしてほしい」と語った。

  山下会長は延期に伴う各競技団体への財政的なインパクトについては「全てに影響が出てくる」と指摘。新型コロナ感染拡大による世界経済への打撃は計り知れないとして、スポンサー企業による支援にも影響が及ぶことに懸念を示した。一方、選手の強化費用は極めて大きなポイントだとし、政府や企業への支援依頼は今後の検討事項だとも述べた。

  橋本五輪相によると、東京五輪の開催決定以降の関連経費は全体で1兆3000億円という。

  今夏のオリンピック開催を巡っては、新型コロナ感染症の拡大で予選の実施や練習が難しくなっているほか、選手団の移動に伴う安全の確保も課題となっていることから、各国のオリンピック委員会や競技団体などから開催時期の再考を求める声が上がっていた。トランプ米大統領も、最終的には日本政府が決めることだとした上で、1年の延期について言及していた。

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世界の感染状況

  新型コロナ感染症による死者は1万8600人を超え、世界の金融市場を大きく揺るがしている。多くの国・地域で渡航制限が発動され、小売業者などが大きな打撃を受けている。日本の国内総生産(GDP)は昨年10-12月(第4四半期)に年率換算で6.3%のマイナス成長に陥ったが、五輪延期でさらなる打撃は必至だ。

  関西大学の宮本勝浩名誉教授は19日、東京五輪が1年延期された場合、日本全体で経済損失は約6408億円になるとの試算を発表。このうち、延期にかかる諸費用が約4225億円、延期により失われる経済効果が約2183億円に上ると指摘した。

  日本は80年前の1940年にも東京で五輪夏季大会を開催する予定だったが、日中戦争などの影響で開催を返上。ヘルシンキに開催地が変更になったが、第2次大戦勃発で中止になった。ロンドンで開催される予定だった44年夏季大会も開かれることはなかった。このほか、16年のベルリン大会が同様に第1次世界大戦で中止に追い込まれている。

(JOCの山下会長のコメントなどを追加して記事を更新します)
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