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バーリ氏、保有する日本企業の株式を買い増し-株価の下落で好機

  • TOBの増加は経営陣のマインド変化の現れ、リスク取る傾向増大
  • 中小企業は時価総額の引き上げに取り組まなければ疎外感-バーリ氏

米ヘッジファンドのサイオン・アセット・マネジメントを率いるマイケル・バーリ氏は、新型コロナウイルスの感染拡大で株価が急落する中で、日本の中小型株の保有を継続しており、一部については買い増していることを明らかにした。

  同氏は電子メールでの取材で、変わりつつある日本市場への投資に対して心を躍らせているという。「ウイルスは一時的な問題」だとし「まだ優良株の選定に100%集中しており、今日でもなおたくさんのチャンスがある」との考えを示した。

  その上で、日本国内では半導体製造装置のタツモ、建設用機械・機器のレンタルを手掛けるカナモト、技術者人材の派遣事業を運営するアルプス技研の株式保有を増やしていると話した。3社の株価は今年に入りどれも30%以上下落している。

3社の株価は下落

  バーリ氏は、下落により「好機が訪れている」とし「私にとってタツモやカナモト、アルプス技研は長期保有の銘柄で、長期的なバリューは変わっていない」との認識を示した。同氏は、マイケル・ルイス氏の著書「世紀の空売り」(原題:ザ・ビッグ・ショート)で取り上げられて脚光を浴びる前から日本企業への投資に取り組んでいる。

  近年日本で増加している株式公開買い付け(TOB)は、合併や事業価値の増大に向けて企業の経営陣がより多くのリスクを取ろうとする意向を反映していると見ている。東京証券取引所が計画する市場再編が、こういった動きを後押しする一因となっていると述べた。

  規模の小さい企業は「時価総額の引き上げに取り組まなければ、疎外感を味わう可能性がある」と指摘。「もっともわかりやすく迅速な対応方法がM&Aで、それ以外であれば、株主還元に対する意識の向上や収益、株式持ち合いの解消といったより定性的なものになる」と訴えた。

  現在は米国や韓国なども含め個別銘柄に投資している。一方で、指数連動型商品や上場投資信託(ETF)に資金が流入しバブルの様相を呈していることに警鐘を鳴らしており、現在の状況はパッシブ投資バブルを破裂させる可能性があると指摘している。

経営陣が買収に前向き

  「日本には夜明け前の微光が差したこともあったが、現在の景気後退や株価の急落は明らかに一時的な外的要因によるもの」で「それは日本市場でM&Aが増加すべきことを意味し、特に後継者の育成方針が明確でないところではしばしば経営陣がM&Aに前向きになっている。これは以前と比べて大きく変化したこと」だと訴えた。

  バーリ氏が主に対象としているのは中小型株で、値ごろ感があり経営陣が事業のポテンシャルを開示することに前向きな企業、あるいはそうせざるを得なくなっている企業に注目している。昨年、同氏は日本企業8社の株式を保有していることを明かしていた。

  保有銘柄のうち買収の対象になる可能性のある企業名については言及せず、「それは私自身のテーマで適切に投資している」と述べるにとどめた。

  今年に入ってからも敵対的なTOBのほか、企業が眠らせていた資金や遊休資産の活用、非中核事業からの撤退につながるような物言う株主(アクティビスト)による株主提案の提出が相次いでいる。バーリ氏は、それでもなお少数株主は依然として利益の確保に悪戦苦闘している状況だと指摘した

  パナソニックによる上場子会社パナホームの完全子会社化のような取り組みが、より規模の小さい企業でも起きており、最近の事例として半導体装置の保守などを手掛けるマイスターエンジニアリングや、ドラッグストアを運営する総合メディカルホールディングスでの経営陣による自社買収(MBO)を挙げた。

  「トレンドが生まれており、基本的な流れとしては良い方向」と受け止めていると述べた。

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