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米株式市場は最悪シナリオを再び想定、FOMC緊急利下げも効果薄

  • 0.5ポイント緊急利下げでも新型コロナで揺れる市場の懸念後退せず
  • 新型コロナが世界的リセッションの引き金になれば企業利益25%減も

株式をうわさで買いニュースで売った投資家がここにきて、再びリアルな強迫観念にとらわれている。株式市場にリセッション(景気後退)がどう影響するか思い描こうとしているが、美しい構図ではない。

  さらに良くないのはフィードバックループで、その多くは市場自体から発せられている。ニュース報道で株価が急落し、神経が擦り切れ、旅行は中止。株価がさらに下落する。こうした動きは常に株価上昇を阻み、未来を描くという課題が容易になることはない。

  米金融当局による緊急の景気刺激策が経済を救うとの見方に疑念が広がる前、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ジーナ・マーティン・アダムス氏はブルームバーグテレビジョンの番組で、「株式市場は最悪のシナリオを織り込む傾向がある。最悪のシナリオはリセッションだ」と指摘した。

Multiples have been much lower at prior intermediate troughs

  最悪のシナリオは、非常に多くのことが他と無関係に起きる状況で生じやすい。今がまさにそういう状況で、経済データにはまだ新型コロナウイルスの影響は反映されていない。ダウ工業株30種平均は先週初め以来、1000ドルを超える動きが3回見られており、誰もが臆測に頼らざるを得ないのが実情だ。

  3日の米株式相場は過去9営業日で8回目の下落となり、2日の大幅上昇の3分の2が取り消された形だ。投資家は米金融当局による景気刺激策の有効性について考え直したためで、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長も0.5ポイントの利下げでは新型ウイルスが突きつける無数の経済リスクと健康上のリスクの解消には不十分と認めたことから、売りが優勢となった。

企業収益

  アナリストの間では、S&P500種株価指数構成企業の2020年増益率は7%程度と予測されているが、その実現を見込む投資家はほとんどいない。既に多くの企業が新型ウイルスで業績に重大な影響が及ぶと警告しているが、詳細を示す企業は少ない。

  そうした不確実性から、株式市場への全体的な打撃に関する予想には幅がある。ビスポーク・インベストメント・グループは新型ウイルスの問題で1株利益が一時的に20%落ち込み、株価収益率(PER)が16倍に低下するシナリオを描いており、そうした場合、S&P500種は2月半ばに付けた最高値から40%強下落することになる。

  ビスポークのマクロストラテジスト、ジョージ・ピアクス氏は「妥当な弱気相場の様相だ。その通りなら、下げ相場のおよそ3分の1の地点にある」と述べた。

  シティグループのアナリストは、サプライチェーンの問題や需要低迷、商品価格下落を理由に、通期の利益予想を下方修正した。米国株チーフストラテジスト、トビアス・レフコビッチ氏によれば、米企業の20年の1株利益予想は164.25ドルと、従来予想の174.25ドルを下回るという。

  レフコビッチ氏は「より大きな未知の問題は、新型ウイルスが世界的なリセッションを引き起こす恐れがあるかだ。そうなれば25%近い減益となり、株式相場も同様に下落することになる」と指摘する。

  同氏によると、S&P500種は最近の高値から最大13.5%下落しているため、投資家は既にリスクを織り込んでいるかもしれない。しかし、新型ウイルス流行によるリセッションが現実となった場合は、シティとしては20年1株利益予想をさらに30ドル引き下げる必要があるという。PERを18倍とした場合、S&P500種は2400となり、2日の水準から20%の下落を意味する。同行は投資家に対し、当面は静観を続けるよう警告している。

原題:
Worst-Case Dread Is Back in Stock Market After Powell Falls Flat(抜粋)

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