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キリンHD社長:英ファンド提案に反論、追加の株主還元も検討へ

更新日時
  • ヘルスサイエンス領域の関連市場は4兆円超の潜在市場見込める
  • 成長性が見込めないと判断した事業については売却も含めて判断

キリンホールディングス(HD)の磯崎功典社長は3日、成長領域と位置付ける健康食品やサプリメントなどのヘルスサイエンス事業を中心とした投資家向け説明会を開催し、海外投資ファンドから売却も含めた事業見直しを迫られている同事業は潜在市場が4兆円超見込める魅力的な市場だと訴えた。

Heineken Beer Production As Company Expects Sales Jump During Rugby World Cup in Japan

キリンのロゴ

  磯崎社長は「持続的成長のために、新たにヘルスサイエンス領域で将来の成長領域を築くことが目標」と説明。一方で「将来の成長が見込めないと判断した事業については売却も含めて適切に判断する」とも述べた。また、「追加的株主還元の実施も検討する」との考えも示した。

  同社では高齢化や健康ニーズの高まりなどから、国内の健康関連食品の市場規模は現在の2兆4000億円から2倍弱の4兆1000億円まで拡大する潜在的な可能性があると試算している。

  資本提携したファンケルのマーケティング力を活用し、2024年までに事業利益ベース(日本基準の営業利益)で最大70億円のシナジー効果の創出を目指す。子会社の協和発酵バイオでは24年に事業利益95億円、27年には150億円以上への拡大を計画している。

  キリンHD株を約2%保有する英投資ファンドのインディペンデント・フランチャイズ・パートナーズ(FP)は、ビール事業に集中し、ファンケル株式など中核でない事業はすべて手放すことを提案。事業売却で得た資金で自己株取得も求めている。

  磯崎社長は同提案について「キリンが崩れてしまう」と述べ、到底受け入れられないとの考えを示した。

  キリンHDによると、18年の国内ビール生産量は10年前と比べて約17%減った。同社の推計では世界のビール消費量は0.8%の微増だった。こうした市場の縮小や伸び悩みに直面する中、キリンHDは成長領域を新たに見いだすことで現状の打開を急いでいる。

  19年2月にヘルスサイエンス事業に注力する中長期の経営計画を発表。同年4月には1000億円以上を投じ、健康素材などを手掛ける子会社の協和キリンから協和発酵バイオの株式を取得し子会社化。8月には化粧品・健康食品のファンケルの株式約30%を取得する資本業務提携の計画について発表した。

  投資家向け説明会に同席した吉村透留常務はヘルスサイエンス事業について「シナジーを創出することが第一。大きなM&A(企業の合併・買収)の方向性はない。リターンという観点ではROIC(投下資本利益率)10%以上を目指していきたい」と述べた。

  FPは2日、「シナジー効果を計算することもなく、どのような根拠をもって、ファンケルの収益の35倍に相当する買収価格としたのか」など、キリンHDへの疑問を書面で列挙し、他の投資家に対して企業戦略への懸念をきょうの投資家説明会で直接キリンHDに向けて表明すべきと呼びかけていた。

  キリンHD・最高財務責任者(CFO)の横田乃里也常務は、「われわれの求める成長スピードはビールだけではなかなか実現できない」と2月末のブルームバーグとのインタビューで指摘。FPの提案については「かなりドラスチック」であり、「プロキシファイト(委任状争奪戦)にもっていこうとするところはまさしくアクティビスト」とコメント。27日に開催予定の株主総会を前に、両者の主張は対立したままだ。

 

(投資家説明会での社長のコメントなどを追加します)
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