日本株が連日の急落、米感染拡大や円高嫌気-指数は週間で9%超下落
伊藤小巻、牧綾香-
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28日の東京株式相場は大幅安となり5日続落。日経平均株価とTOPIXは週間で9%を超える下落となった。新型ウイルスの感染拡大が世界経済に与えるダメージへの警戒感が広がり、日経平均株価とTOPIXの下落率は一時4%を超えた。米国株安や為替の円高推移などを受けて企業業績に対する懸念が強まり、電機や情報・通信などを中心に、東証1部の銘柄の98%が下げ全面安となった。
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〈きょうのポイント〉
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、新型ウイルス感染で国内の工場操業が停止し、中小企業が資金繰りに厳しくなり経営が行き詰まれば、銀行に飛び火するという連想ゲームが働きかねない状況と指摘。「投資家は最悪のケースを織り込み、強いリスク回避に傾いている」と話した。
米国株が急落し、東京市場でも売りが広がった。午後も一段安となり、日経平均は一時1031円(4.7%)安の2万0916円に下落。節目の2万1000円を下回り、昨年9月以来の安値を付けた。東証1部の売買代金は約4兆1300億円と商いも膨らんだ。4兆円を超えたのは2018年10月30日以来。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏ストラテジストは、政府が小中高校の臨時休校を要請し、「投資マインドへの悪影響は大きく、通常通りの業務が難しいテレワーク勤務が広がると企業の活動は制約される」と指摘。日米とも堅調な経済指標の発表があったが「過去の経済状態を示すファンダメンタルズを見ずに、この先の企業活動に市場の視点が移り株価を押し下げている」と述べた。
日経平均株価の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー指数(VI)は節目の40を大きく上回った。取引時間ベースでみて、英国でEU離脱の国民投票が実施された2016年6月以来の高水準を付けた。日経平均VIはデリバティブ市場でのオプション価格の割高さを反映したもので、価格変動が大きくなるとの見方が強まると上昇する。株価下落リスクを避けるためのオプション買いが先行している。

さわかみ投信の草刈貴弘最高投資責任者(CIO)は「米国での新型ウイルス感染が広がりをみせており、日本政府の対応も日々切迫感が出ており、売りが売りを呼んでいる」と話していた。日経平均は株価純資産倍率1倍の2万0700円も意識され始めた展開で「今後は2万円台をキープできるかが焦点」と述べていた。
- 東証33業種では電機、情報・通信、サービス、証券・商品先物、不動産、化学の下げが目立つ
