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ECB、パンデミックが招く欧州危機に対応可能か-限界近いとの声

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  • 「能力の限界に達したわけでないが近づきつつある」とエコノミスト
  • ラガルドECB総裁の1月の警告は先見の明があったと思われる

新型コロナウイルスの感染拡大が欧州の経済危機に発展したとしても、欧州中央銀行(ECB)に急いで救済に動く構えはまだない。

  中銀預金金利が大幅なマイナスに設定され、最近再開したばかりの資産購入も継続中であり、金融政策による追加支援の余地は非常に限られる。次の経済成長の強力な後押しはドイツなど各国政府が行うべきだと考えるフランクフルトの政策担当者にとって、そうした状況は自分たちの主張の説得力を一層高めるものだ。

  UBSグループの欧州担当エコノミスト、アンナ・チタレワ氏(ロンドン在勤)は「ECBは完全に能力の限界に達したわけではないが、近づきつつある。追加の金融緩和策を提供する臨界点はなおかなり高い」と指摘した。

  世界全体の感染者数が8万人を超え、死者数も3000人近くに達する新型ウイルスの感染拡大がパンデミック(世界的な大流行)となり、これまで製造業に限定されてきたリセッション(景気後退)が広く経済全体を巻き込む事態になれば、ECBは結局のところ、財政出動の助けを待つ余裕はないかもしれない。

  そのようなシナリオを考えれば、「政策が自動操縦と思い込むべきでない」と述べた1月時点のラガルドECB総裁の警告は、先見の明があったとなおさら思える。

  世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)でのこの発言からわずか1カ月で、遠く離れた中国の問題のように見えた感染拡大はイタリアに波及し、今や落ち着かないほど身近な出来事になった。

  ECBのチーフエコノミスト、レーン理事は、中銀預金金利が5年余りマイナス圏にある状況でも追加利下げの障害はないとの認識を示し、必要な場合にはさらなる引き下げがなお可能だとECBは主張する。

  しかし実際には、フランス銀行(中銀)のビルロワドガロー総裁やイタリア銀行(同)のビスコ総裁は、銀行の収益性を損なう懸念を理由に挙げてマイナス金利を声高に批判しており、ECBの政策委員会メンバーらに現時点で意欲はうかがえない。

  ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁らの間でなお異論があるとはいえ、月200億ユーロ(約2兆4000億円)の規模で現在行っている資産購入による量的緩和(QE)のペースを上げる方が、政治的に有害でないかもしれない。

  危機を食い止める各国政府の能力に対する疑念を反映し、ソブリン債の利回りが急上昇するような場合には、政府債の追加購入を迫られることもあり得るだろう。

  企業の資金調達が問題になれば、社債の購入拡大も選択肢となり、場合によっては金融債など新たな資産の検討や株式の購入さえ考えられる。

  

ECB has resorted to unconventional measures in the past
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原題:Pandemic Scenario for ECB May Mean Revisiting Maxed-Out Toolkit(抜粋)

(利下げやQE拡大の可能性について追加して更新します)
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