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Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

日本企業のTOB急伸、敵対的買収の増加も追い風に-勢い衰えず

  • 19年のTOB総額は5兆7000億円に、前の年と比べて3倍超に増加
  • 日本企業が市場を意識、買収で希薄化のないキャッシュディール選好
Morning commuters wearing protective masks walk on a footbridge in Tokyo, Japan, on Tuesday, Feb. 25, 2020. Japan saw a 6.3% economic contraction in the last three months of 2019, fueling criticism of Prime Minister Shinzo Abe’s decision to carry out the tax increase at a vulnerable time for the economy. After factoring in the early signs of impact from the coronavirus, analysts now believe the economy is falling into recession.
Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

日本企業が関わる株式公開買い付け(TOB)が急伸している。2019年は金額ベースで前年比3倍超に拡大。今年に入っても勢いは衰えていない。低金利下で資金を調達しやすくなっているほか、これまで日本ではあまり見られなかった敵対的な買収であっても踏み切りやすくなった環境変化が背景にある。

  ブルームバーグのデータによると、日本企業が対象となるなど19年の日本関連のTOB提案数は51件、金額ベースでは5兆7000億円に上った。世界全体のTOB提案に占める比率は16%と前の年の4.6%から跳ね上がった。なお、対抗TOBがあった場合は重複して集計している。

  昭和電工日立化成を総額9600億円で買収した案件のほか、子会社の完全子会社化などでもTOBの手法が使われた。5億ドル(約560億円)超の大型提案は15件と過去最高を記録した。ユニゾホールディングスを巡る買収合戦など敵対的な買収提案も増えた。

増える大型案件

5億ドル以上の日本関連TOB提案が急伸

Source: Bloomberg

  みずほ証券プロダクツ本部の山崎栄一副本部長は、グローバルでは買収案件の大型化で株式交換を使う手法が増える一方、日本では企業が市場をより強く意識するようになってきており、株式希薄化を伴わない「キャッシュディールであるTOBが増えている」とみる。低金利下で資金調達しやすいことも背景にあるという。

  20年の提案も26日時点ですでに12件、8100億円と前年同期と比べて3.4倍と引き続き伸びている。米投資ファンドのベインキャピタルによる昭和飛行機工業買収など、プライベート・エクイティ・ファンドによる買収が目を引く。山崎氏は「キャッシュディールではPEファンドの存在感が大きい。ファンドへの資金流入も続いており、今年も多くのTOBが実施されるだろう」とみる。

敵対的買収への心理抵抗下がる

  19年は敵対的買収の提案が10件と前年の1件から大きく増えた。20年もすでに旧村上ファンド系投資会社による東芝機械へのTOB案件など3件が提案された。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の別所賢作・M&Aアドバイザリー・グループ統括責任者は「敵対的、正確に言うと経営陣が望まない提案は増える傾向にあるのではないか」と見通す。

  日本では07年に司法が企業に対し、アクティビストに対抗する買収防衛策の導入を認めた経緯などから敵対的買収が根付いてこなかった。別所氏は「理のある提案は理由なく却下できなくなりつつある。そういう意味で徐々に提案者及び周囲の心理的抵抗は下がっていくだろう」と述べた。  

  米独立系運用会社Tロウ・プライス日本株運用部長のアーシバルド・シガネール氏は1月のセミナーで、企業統治(ガバナンス)に対する意識の高まりで、安易な買収防衛策は導入しにくくなったと指摘。「単に社員を守りたいでは不十分で、株主に合理的な説明ができないと受け入れられない」として、「投資家が買収を目指しやすい環境になったことも、案件が増える要因になっている」との見方を示した。

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