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歴史は繰り返す、消費増税で日本に忍び寄るリセッションの足音

  • 消費税導入以後3回目の税率引き上げ、庶民の倹約は続く
  • 世界的景気減速や大型台風、新型肺炎で当初シナリオに狂い

主婦の三井末子さんは昨年10月の消費税率引き上げを前に、長年迷っていたエアコンの購入を決断した。

  他の多くの人と同じように、三井さん(64)は近く改めて大きな買い物をする予定はない。消費が停滞する増税後の日本経済はリセッション(景気後退)の瀬戸際に立たされている。それも、新型コロナウイルス感染拡大への警戒を強める前のことだ。

  「少し値段を気にするようにはなった気がする」と言う三井さんは、自身含めた人々が感じている価格意識の高まりは、増税とわずかな賃金上昇で家計が萎縮していることが関係しているとみている。

         

またしても

増税のたびにマイナスに陥る経済成長率

出所:内閣府

備考:1994年より前のデータは算出方法が異なるが比較可能

          

  日本の2019年10-12月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率6.3%減少し、この結果から脆弱(ぜいじゃく)な経済環境で増税に踏み切った安倍晋三首相の判断に対する批判に拍車がかかった。新型コロナウイルスによる影響の初期の状況を織り込むと、日本経済はリセッションに向かいつつあるとの見方がエコノミストの間で広がっている。

           

Prime Minister Shinzo Abe Resumes Constitution Quest to Burnish Legacy

安倍晋三首相

写真家:太田清/ブルームバーグ

            

  政治スキャンダルや新型コロナウイルス感染拡大対策への懸念から既に支持率が低下しつつある安倍首相にとって、マイナス成長はタイミングが悪かった。先週発表された3つの世論調査では政権支持率がいずれも低下した。

  消費増税の背景にあるのは、先進諸国で最大の公的債務の対GDP比率を抑制しながら、増加する高齢者に年金や医療を提供するためにより多くの資金を政府は必要としているということだ。

  リフレ派は、財政を引き締める前に十分に力強い成長サイクルをまず確立することが政策の優先事項だと考えている。増税により景気は腰折れし、デフレ脱却後のインフレへの道筋が帳消しになるリスクがあると主張する。

  ソシエテ・ジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミストは「消費税を引き上げる理由は全くなかった。必要性は全くなかった」と述べた上で、「高齢化を見越した増税ということだが、政府は家計ではない。将来お金が必要だからといって、今この段階で必要のないお金を集める必要は全くない」と語った。

膨らむコスト

社会保障給付費は右肩上がり

出所:国立社会保障・人口問題研究所

 

  

  安倍政権は、アベノミクスの初期の勢いをそぐ一因となった14年の消費増税の教訓を最大限学ぼうとした。増税は、物価と賃金の上昇、消費拡大、成長加速を促すというアベノミクスの目標とうまくかみ合わなかった。

  そのため安倍政権は今回、需要を下支え、増税の影響を軽減するためにさまざまな対策を用意した。ただ、キャッシュレス決済に対するポイント還元などを含む景気対策でも、増税後の消費が四半期で11%落ち込むのを防ぐことはできなかった。

  消費増税の影響が単に1四半期だけの問題ではないということがますます明らかになっている。過去の増税時のGDP統計は、経済への打撃が長引くことを示している。

           

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マスクをしながらサッカーの試合を観戦するファン(2月23日、神戸)

写真家:ゲッティイメージズによるジジプレス/ AFP

  増税前の10四半期と、増税直後のマイナス成長の後に続く10四半期の年率換算の実質成長率を比較すると、増税後の方が平均で少なくとも0.5ポイント低く出ている。97年の増税時は、アジア金融危機や日本の金融システム危機と重なった経緯があるものの、その差は2.9ポイントだった。

不都合なタイミング

  安倍首相は恐らく、追加の建設投資や外国人訪日客の増加が日本経済を支え得るオリンピック開催前の年が増税の好機だと考えたのだろう。しかし、世界的な景気減速や大型台風、そして足元の新型コロナウイルスの感染拡大によってそのシナリオに大きな狂いが生じている。

  IHSマークイットの田口はるみ主席エコノミストは、昨年10月の消費増税は「タイミングが非常に悪かった」とみている。米中貿易戦争や生産減少、賃金停滞による影響を踏まえると、増税時にはより直接的な財政支援が必要だと語った。  

  政府が昨年12月に策定した経済対策では増税についてほとんど触れられていない。日本銀行は傍観者の立場だ。日銀の景気支援策は既に、他の主要中銀が講じる策よりもはるかに踏み込んだものとなっている。

  元財務官の黒田東彦日銀総裁は消費増税を支持した。ただ、金融緩和による負の影響が強まる中、日銀は日本経済にさらなる支援が必要な場合には政府がまず対策を打つことを望むだろう。

代償

  生産年齢人口が15年から60年の間に3分の1余り縮小することが予測されている日本で、医療や年金、福祉、介護費用のための歳入を増やす必要があるのは明らかだ。

           

'Respect For Aged' Day In Japan

木製ダンベルを使って運動する高齢者(都内)

写真家:大隅知宏/ゲッティイメージズ

  短期的に経済の打撃となっても増税後の税収総額はおおむね伸びている。もっとも、財政均衡化目標の達成時期は相変わらずはっきりせず、法人税や所得税の税収を押し上げる力強い経済成長なしには、さらなる消費税率引き上げの可能性は排除できない。

  みずほ証券の上野泰成チーフマーケットエコノミストは、「少子高齢化が続き、かつ借金を返すのであれば、増税は不可避だと思う」と述べた上で、「タイミングはともあれ、消費増税には基本、賛成」と語った。

  首都圏に住む翻訳家の小田桃子さん(31)は、高齢化社会の負担を将来的に背負わなければならない一人だ。年金を頼りにしている人が増えているため、「アンフェアに感じるけれど、仕方ないのかなという気はする」と言う小田さんは、「自分の年金に対しても期待は全くしていない。ほぼもらえないものとして自分で対策を練る」と語った。

         

原題:
History Repeats as Sales Tax Hike Pushes Japan Toward Recession(抜粋)

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