コンテンツにスキップする

安倍首相、新型肺炎流行の早期収束に「極めて重要な時期」

更新日時
  • 感染拡大防止へ政府が基本方針決定、患者集団対策を強化
  • 患者数大幅増の地域には一般医療機関で受け入れへ-基本方針

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は25日の対策本部の会合で、まん延防止のための医療体制整備などを柱とする総合的な基本方針を取りまとめた。安倍晋三首相は「今がまさに感染の流行を早期に収束するために極めて重要な時期」と述べ、正確で分かりやすい情報提供などを進めていく方針を示した。

  安倍首相は日本の現状について「複数地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域には小規模の患者集団、いわゆるクラスター(集団)が発生」していると指摘。こうした地域への対策を抜本的に強化すると表明した。

  具体的には感染症の専門家が参加した対策チームを編成し、自治体を支援していく。24日までに30人の感染者が確認されている北海道からの要請に基づき、25日に対策チームを派遣することも明らかにした。

「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」の概要
  • 患者増加スピード、可能な限り抑制することは今後の流行を抑える上で重要。この時期は患者数が大幅に増えた時に備え、重症者対策中心に医療提供体制整える準備期間
  • 感染経路は飛沫(ひまつ)感染、接触感染で、空気感染は起きていないと考えられる。近距離で多くの人と会話するなどの環境下では、せきなどがなくても感染拡大のリスク
  • 重症度は致死度が極めて高い感染症ほどではないが、季節性インフルエンザと比べて高いリスク
  • 重症者発生を最小限に食い止めるべく万全尽くす。社会・経済へのインパクトを最小限にとどめる
  • 企業に発熱などかぜ症状の見られる職員への休暇取得の勧奨、テレワークや時差出勤の推進を強力に呼び掛ける
  • イベント、現時点で全国一律の自粛要請行うものでない
  • 患者数が継続的に増加する状況では、積極的疫学調査や濃厚接触者に対する健康観察は縮小し、広く外出自粛の協力を求める対応にシフトする
  • 患者大幅増の地域では動線区分など感染対策を講じた上で、一般医療機関で外来患者受け入れ。重症者を優先的に受け入れる医療機関を決めるなど役割分担により、適切な入院医療の提供体制整備
  • マスクや消毒液等の増産や円滑な供給を関連事業者に要請

「今後1~2週間が瀬戸際」と専門家会議

  対策本部に先立ち、専門家会議は「これから1-2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」とする24日付の見解を公表。「感染拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らす」ことを最大の目標と位置付けていた。

  厚生労働省の24日の発表では、国内の感染者数はチャーター機の帰国者含め156人。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の乗員・乗客が691人。このうち国内感染で1人、同船乗客の2人の計3人が死亡。乗船していた80代男性1人も肺炎で死亡しているが、厚労省は感染の有無を公表していない。また共同通信によると、厚労省は25日、クルーズ船の乗客だった別の80代の男性が搬送先で肺炎で死亡したと発表した。ウイルス検査は陽性だったとしている。

  また、加藤勝信厚労相は25日、衆院予算委員会分科会で、下船した人のうち、熱などの症状がある人が28人いることを明らかにした。この中では、栃木県の女性が下船後に改めて行った検査で陽性と確認されている。

Commuters As Japan Becomes Risky Place for the Spread of the Coronavirus

朝の通勤風景(都内・25日)

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

   

厚労省にクラスター対策班

  加藤厚労相は基本方針発表の記者会見で、厚労省内にクラスター対策班を設置し、患者集団が発生している自治体と連携し、感染拡大防止に最大限の支援を行う考えを明らかにした。

  専門家の対策チームを派遣する北海道の現状について加藤氏は「患者クラスターが発生している恐れがある。このままいけば一つの患者の集団が新たな患者の集団を作りかねない」と懸念を示した。さらに感染が広がる恐れがあれば、イベントの自粛を要請する可能性もあると述べた。

  専門家会議の尾身茂副座長は、新型コロナウイルスの特徴として多くの感染者は濃厚接触者に感染させないものの、特定の人が感染を拡大させてクラスターを発生させている可能性があると指摘。「なるべく早いうちにクラスターの芽があったらつぶす」ことがさらなる感染拡大を防ぐために重要との認識を示した。

  政府は経済団体などにテレワークや時差出勤を活用するよう促している。安倍首相は対策本部会合で、「政府においても可能な限り多くの職員が混雑時間帯を避けて通勤、勤務を行えるよう、本日から率先して取り組みを開始した」と指摘。企業や団体に対し、発熱などかぜの症状がみられる人への休暇取得勧奨、時差出勤やテレワークを強力に推進するよう求めた。

  菅義偉官房長官は25日午後の会見で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的影響を巡り、「総合経済対策を策定し、それに基づく補正予算案がまさにこれから実行されるところ。これらの対策を実行していくことを含め、今後も状況に応じてちゅうちょなく対策を講じていきたい」と述べた。

感染症の関連記事:
(クルーズ船乗客の死亡者について追加します)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE