コンテンツにスキップする

三菱モルガン、M&A助言で4年ぶり首位奪還-19年は国内勢巻き返し

  • 国内企業同士の再編が目立ち、トップ3を国内系証券が独占
  • 新型肺炎感染拡大、20年のM&A市場への影響図るには「時期尚早」

三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、2019年の日本企業が関連した企業の合併・買収(M&A)の助言業務で4年ぶりに首位に立った。取引総額は前年に武田薬品工業がアイルランドの製薬大手シャイアーを約8兆8300億円で買収した巨額案件があった反動で減少したが、件数は大幅に増加。敵対的買収も増えるなど、企業の行動原理にも変化が出てきている。

Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Logo

  ブルームバーグのデータによると、19年の日本企業が関わったM&A件数は前年比33%増の4635件と過去最高を記録。一方、金額ベースでは同30%減の30兆6000億円だった。

  そのうち、国内案件は件数ベースで前年比40%増の2801件、金額ベースで同15%増の8兆9000億円と、海外関連案件を上回る伸びを見せた。昭和電工による日立化成の買収など、国内企業同士の業界再編が目立つ一年だった。また、敵対的買収の提案が10件と、前年の1件から大きく増えた。

  三菱モルガンはソフトバンクグループ傘下で「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)とLINE(ライン)の統合でZHD側のアドバイザーを務めたほか、三菱ケミカルホールディングスが子会社の田辺三菱製薬を株式公開買い付け(TOB)によって完全子会社化した案件で三菱ケミH側に助言。業界再編となる大型案件に携わった。

  三菱モルガンの別所賢作・M&Aアドバイザリー・グループ統括責任者は、同社の強みについて、米モルガン・スタンレー、三菱UFJフィナンシャル・グループと日米による合弁証券という特徴を挙げ「日本市場にコミットしているので、安易な短期志向にも陥らず、同時にグローバルな証券会社として顧客に必要な情報をタイムリーに届けることができる」と説明する。

2019年のM&A助言ランキング

国内系証券がトップ3占める

出所:ブルームバーグ

  また、19年は日本企業同士の案件の割合が増えたこともあり、国内勢の躍進が目立った。前年4位だった野村ホールディングスが2位、みずほフィナンシャルグループは3位だった。みずほFGは16年に首位に立った後、17年は13位、18年は6位と振るわなかったが、巻き返した。

  みずほ証券プロダクツ本部副本部長の山崎栄一氏は、同社グループは「銀行約560人、証券約200人のカバレッジバンカーを擁しており、全業種でほぼ全ての主要企業グループを網羅していることが強みだ」と述べる。外資系でここまでの態勢はあまり聞かないとし、日本企業の間で業種を超えた案件が増加する中、いかに橋渡しできるかが重要になるとの認識を示した。

敵対的買収も増加へ

  20年の見通しについて、三菱モルガンの別所氏は「底堅く推移するのではないか。日本のM&A市場は安定的に成長しており、その傾向がトーンダウンする要素は見当たらない」と指摘。また、「起こるべくして起きる案件が増えるだろう。例えば敵対的買収や祖業の売却のように、これまで日本では難しいという先入観があった案件でも、理論的に起きてもおかしくない案件ならもっと出てくるのでは」と述べた。

  19年にユニゾホールディングスを巡るTOB合戦などで注目を集めた敵対的TOBは引き続き活発で、20年に入ってすでに、前田建設から前田道路、旧村上ファンド系投資会社から東芝機械など3件が発表されている。

  また、米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)の日本のM&A統括責任者の間中章彦氏は「19年に弊社は日本企業による事業売却案件に数多く携わったが、20年もその傾向は続く見込みだ」と分析する。

  その上で「個々の企業がグローバルな競争力を有する強い事業に集中投資する傾向を強めている。一方で非中核事業については投資できる余地が狭まり、その事業をより加速的に成長させてくれるパートナーがいれば譲渡するのも合理的選択肢だ、という考え方が浸透してきている」という。

  一方、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が与える影響も懸念される。野村HDは感染者が確認された国や地域への出張を原則禁止としたほか、みずほ証は中国・香港への出張を禁止し、その他の感染者が確認された国や地域への渡航については注意喚起している。

  みずほ証の山崎氏は、これらの措置により該当国企業との交渉に時間がかかるようになったほか、海外の投資銀行関係者との日本企業への訪問が延期となるケースも出ているとしたものの「20年のM&A市場に大きな悪影響を与えると判断するには時期尚早と考える」と指摘。SMBC日興証券企業情報部の山野義明部長も、ガバナンス強化の流れなどで20年の「M&A市場は引き続き強い」との見通しを示した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE