コンテンツにスキップする

デジタル円「数年内の実現は簡単ではない」-技術に課題と自民PT座長

  • リテールまでの即時決済、今の技術の成熟度では課題がある-村井氏
  • 技術・法制度、金融政策や金融機関への影響を検証して報告書作成へ

世界の中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入を視野に入れて研究を進める中、自民党金融調査会デジタルマネー推進プロジェクトチーム(PT)座長の村井英樹衆院議員は、現在のブロックチェーン(分散型台帳)の技術水準では、今後数年以内に「デジタル円」の発行を実現することは困難との見解を示した。

  村井氏は19日のインタビューで、「日本や先進国において、ブロックチェーンによる一つのシステムで国中のリテール取引まで即時決済できるようなデジタル通貨を作ろうとすると、今の技術の成熟度では課題がある」と指摘し、現行通貨の安全性や利便性を維持した上でのデジタル円の発行が

House of Representatives Hideki Murai

村井英樹衆院議員

Source: Office of Hideki Murai

「数年以内に実現するのは簡単ではない」と語った。

  村井氏によると、同PTではカンボジアの「バコン」、中国の「デジタル人民元」構想などを踏まえて、技術面、法制度、金融政策や金融機能への影響などを分析・検証している段階。今後、その成果を報告書としてまとめる方針だ。

  自民党内では別の動きもある。ルール形成戦略議員連盟(甘利明会長)は今月に入って、デジタル人民元が広く普及するシナリオを想定し、経済安全保障上の観点から円のデジタル化を含めた対応策を早急に検討するよう提言した。

自民党議連の提言に関する記事はこちらをご覧ください

​  政府と日本銀行は現在、CBDCを発行する計画はないとの立場を取っているが、1月には日銀や欧州中央銀行(ECB)など6中銀が、CBDC活用の可能性を評価するための共同研究グループを設立。黒田東彦総裁は17日付の産経新聞のインタビューで、CBDCについて「技術の進歩や国際的な金融環境の変化を踏まえると、将来的には必要になる可能性もある」と語った。

6中銀の研究グループに関する記事はこちらをご覧ください

  村井氏は、現金の信頼性や利便性が劣る新興国ではデジタル通貨など新しい決済技術が浸透しやすい環境にあるとしながらも、「中国のように経済取引が多い国で、全てのリテール決済を一つの分散台帳で管理することは、現時点では技術的に難しく、仮にできたとしても、利便性や効率性が落ちる」との見方を示した。

  日本では銀行間振り込みは全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)を通じて即時完了するほか、キャッシュレス決済手段の多様化も進んでいる。村井氏は「日本ではあまりにも利便性が高く、セキュリティーの高い世界にいるから気が付かないかもしれないが、決済に時間がかかったり安全性に不安があるような世界に切り替えたら問題が山ほど出る」とし、デジタル通貨を巡る慎重な議論の必要性を指摘した。

  国際決済銀行(BIS)の調査によると、66の中銀の8割がCBDCに関する作業に着手しており、新興国では導入へのモチベーションが高く、より実用的な開発段階へと移行している。この結果、1割の中銀は短期的にCBDCを発行する可能性があるとしており、世界人口の5分の1をカバーする。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE