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クルーズ船の感染者から日本人2人死亡、国内で計3人に-厚労省

更新日時
  • 80代の神奈川の男性と東京の女性、男性には基礎疾患-新型肺炎
  • クルーズ船で業務の厚労省、内閣官房職員も新たに感染し入院
JAPAN-CHINA-HEALTH-VIRUS
Photographer: CHARLY TRIBALLEAU/AFP
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Photographer: CHARLY TRIBALLEAU/AFP

新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の乗客で、感染が確認され入院していた80代の日本人の男女2人が20日、死亡した。同船の乗船者では初めて。厚生労働省が発表した。先に死亡した神奈川県の女性と合わせると国内での感染者死亡は3人となる。

  厚労省によると、男性は神奈川県、女性は東京都に居住。いずれも発熱などの症状が出て男性は11日、女性は12日にそれぞれ入院した。男性には気管支ぜんそく、狭心症治療歴の基礎疾患があった。また、同省は20日、クルーズ船で勤務していた厚労省と内閣官房職員各1人の新たな感染を確認、福岡市も九州で初めての感染者が分かったと発表した。NHKは札幌市でさらに1人の感染を確認したと報じた。これを受け、同船以外の国内感染者は計88人。

Japan Outbreak Ship

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の乗客を乗せたバス(19日・横浜)

  厚労省の19日までの発表では、延べ3011人の検査で621人の感染者が見つかっていた。同船では14日間の健康観察期間が終了し、検査で陰性が確認された乗客の下船が19日から始まっている。感染者と同室だった人たちは、観察期間が継続する。同船から病院に搬送された人のうち、19日時点で重症者は死亡した2人を含め29人でうち、日本人は15人。

  横浜港に停泊中の同船には当初、50以上の国・地域から乗船・乗客計3711人が乗船していた。すでに米国、オーストラリア、ニュージーランドなどがチャーター機を派遣し、希望する自国民らが下船、一部は既に帰国した。

  共同通信によると、同船の感染者を受け入れた愛知県岡崎市の藤田医科大は19日夜に受け入れた25人のうち男女3人に肺炎の疑いがあり、同県内の医療機関に搬送したと明らかにした。

感染防止策に内外から疑義

  日本政府は5日から、乗客を自室内に待機させるなどの対策を講じてきたが、これまでに船内に入った検疫官や厚労省職員、災害派遣医療チーム(DMAT)に参加した看護師の感染も確認。日本政府による感染拡大防止策は不十分だったとの批判が内外から出ている。

  米疾病対策センター(CDC)は18日、船内隔離について、リスクは現在進行中だとした上で、日本政府の措置は「船内感染を防ぐには不十分だったかもしれない」との判断を示した。

  神戸大学の岩田健太郎教授(感染治療学)は医療従事者らへの二次感染を防ぐ管理が不十分だったと18日に公開した動画の中で批判。20日になって動画は削除したが、理由について「個人や組織を非難することが私の意図ではない。あのまま動画を残しておけば、多数の人が私を誤解し続けることになりかねない」と都内でのテレビ会見で説明した。船内の検疫管理は動画投稿以降、改善したとも述べた。

神戸大教授の記事はこちらをご覧下さい

  また、感染者の医療機関への搬送業務に関わった神奈川県の黒岩祐治知事は記者会見で、船内の状況について「結果的には徹底的な感染防止対策が船の中ではできなくて、あの中で隔離している間に新たな感染が広がった方がいた可能性も否定できないのではないか」と指摘した。

  一方、厚労省の迫井正深大臣官房審議官は記者会見で、感染防止に向け、船内環境は「一定のコントロールはできている」としたが、「現実問題として感染が生じているのも事実」と指摘。数十人の新たな感染者が連日判明していることについては、潜伏期間などとの関係で実際に感染してから検査結果が出るまでに時差があることを挙げ、「今、感染がオンゴーイングで起こっているということではない」と語った。

  死亡した男女の感染時期を断定的に判断することは難しいが、船内隔離が開始した今月5日以前に感染し、その後、発症と考えるのが自然との認識を示した。

船籍は英国、運航会社は米国系

  20日の衆院予算委員会では、国民民主党の後藤祐一氏が香港で下船した乗客の感染が1日に分かった時点で、日本政府として乗客の自室待機を指示できたのではないか、とただした。

  加藤勝信厚生労働相は洋上にある船舶の管轄権については、船籍が英国にあり、米国系企業が運航していることを挙げ、「ぎりぎり誰がどうやっているかということについて、必ずしも明確にはなっていない」と説明。感染者の情報は1日の段階で運航会社に入っていたとして、「その段階で、もちろん今から思えば、船会社の方でも対応を取ってほしかった」と述べた。

  厚労省は20日、イベント開催に関する注意事項を発表。新型ウイルス感染拡大防止の観点から、感染の広がりや会場の状況などを踏まえて開催の必要性をあらためて検討するよう主催者に要請した。その上で政府としては現時点で一律の自粛要請は行わないとした。

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(イベント開催に関して最終段落を追加します)
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