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Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg
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LIBOR廃止へ急ぎ備えを、金融システム・経済に影響-衛藤日銀理事

  • 全金融機関が対応スピード上げる必要、20年度考査の重要テーマに
  • 信用コスト上昇、金融緩和のプラス効果が低減している面ある

日本銀行の衛藤公洋理事は、2021年末に迫るロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の公表停止に向け、後継金利へ円滑に移行できなければ、金融システムや経済活動全般に悪影響が及ぶ可能性があるとし、全ての金融機関に対応を急ぐよう求めた。日銀として20年度考査の重要なテーマに位置付け、取り組みを促していく方針だ。

インタビューの一問一答はこちらをご覧下さい

  LIBORは貸し出しや債券、デリバティブといった金融取引で世界的に活用されている。17日にインタビューに応じた衛藤理事によると、日本の金融機関と証券会社を合わせたLIBOR利用取引の規模は、米ドルと円を中心に、貸し出し債券などオンバランス資産が100兆円超、デリバティブの想定元本が数千兆円に達する。

  国内では日銀や金融界が中心となり後継の円金利指標の選定作業などを進めている。衛藤氏は円滑な移行が進まなければ、「個々の金融機関と企業との関係の中で、資金調達が円滑に行かなくなるといったことも起こり得る」とし、「金融システムの安定だけでなく、経済活動全般にも影響してくる可能性がある」と懸念を示した。

Bank of Japan Executive Director Kimihiro Etoh Interview

衛藤日銀理事

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

  実際の移行に際しては、対象となる取引の洗い出しのほか、顧客の事業会社への説明、システムや会計、リスク管理方法の見直しなど、金融機関が「やるべきことは非常に多い」と指摘。経営者がリーダーシップを発揮し、LIBOR利用取引の多寡に関わらず、全金融機関が対応の「スピードを上げていく必要がある」と語った。

  日銀としては「考査やヒアリングによって、個別に直接的に対応を働き掛けていく」とし、20年度の考査実施方針で金融機関のLIBOR対応を重要テーマに位置付ける考えを表明。金融庁と合同で実施しているLIBOR利用の実態調査の公表や継続的な実施などを通じて、「金融機関に自身の立ち位置を認識してもらい、自律的な対応を促していく」方針も示した。

地域金融機関経営

  衛藤氏は、低金利環境の長期化や地域の人口・企業数の減少などを背景に収益低下が続く地銀をはじめとした地域金融機関の経営にも言及。マイナス金利など日銀による低金利政策の継続が収益低下に「影響している面も確かにある」とする一方、金融緩和を受けた株価の上昇や信用コストの低下が「金融機関収益に寄与している」と説明した。

  ただ、足元で信用コストが上昇に転じるなど金融緩和のプラス効果が「低減してきている面もある」と分析。低金利や構造問題による収益低下が金融機関経営に及ぼす影響について「より丁寧な点検が必要な局面に入ってきている」との認識を示した。

  多くの地域金融機関による地域経済の活性化支援や経営効率化の取り組みを「正しい方向」と評価する半面、「経営改革の効果による収益への貢献が、まだ預貸収益の減少に追い付いていないのも事実」と指摘。財務基盤の強化や金融のデジタル化への対応を含め、経営統合や資本提携は「経営の選択肢として重要性を増している」との見解を表明した。

  衛藤理事は1985年東大教養卒、日銀入行。金融機構局長、名古屋支店長を経て、17年3月理事・大阪支店長。18年5月から金融機構局、発券局、情報サービス局の担当。

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