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両親に会うため帰省した記者、思いがけずコロナウイルス検疫を体験

  • 香港からソウルへの週末の旅行が予想外の展開に
  • 「すみませんが医師に会う必要があります」-検疫官に告げられる

韓国の仁川国際空港で飛行機を降りた時、予想外のことが起きた。私はそれまで数週間、ブルームバーグ・ニュースの香港支局で、感染件数の増加や渡航制限など新型コロナウイルスについて取材していた。

  その土曜日にソウルに飛んだのは、両親に会い、除菌用品や香港では手に入りにくいその他日用品を買い込むためで、変わったことなど起こらないはずだった。

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Stella Ho記者

  少なくとも、全身を覆う防護服を着た検疫官が私の体温を測定するまではそのはずだった。その後の24時間に私は、新型ウイルスを封じ込めるための並々ならぬ努力や、感染が疑われた人々が経験する精神的な苦痛を知ることになった。

香港から両親に会うため韓国を訪れたQuickTake記者のStella Koが空港で経験した検疫についてリポート

  女性検疫官は私の体温を心配そうな声で読み上げた。37.5度だった。

  「ここに座って、10分後にもう1度熱を測る必要があります」と検閲官は言った。「コートを着ているからかもしれないので、脱いでください」

  2回目も37.5度だった。「すみませんが、診察を受ける必要があります」と彼女は言った。

  他の旅客が見つめる中、私は仮設の診察室に連れて行かれた。感染の疑いがあり公衆衛生への潜在的な脅威と見なされたのだ。通りかかった観光客のグループは検疫の標識に気づくと足早に去った。

  私を含む数人が1人ずつ、医師の問診を受けた。その後、検査結果が明らかになるまで近くの施設に隔離されると告げられた。

  私は母に電話し、落ち着いた声を保ちながら今夜は家に帰ることができないと話し、「医者からは恐らく何でもないが、しっかりと確認しなければならないと言われた」と説明した。

  母が平静を保つのに苦労しているのが電話口で分かったが、それが最善だろうとの意見で一致した。父はがん患者で、ウイルスをうつすわけには絶対にいかなかった。大丈夫だと母に告げ、電話を切った。

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  私たちは4時間待った後、救急車で空港敷地内の一時的な検疫施設に搬送された。医師は私たちを部屋に連れて行った際、今後数時間で何が起きるか説明した(大部分は体温チェックと検体の採取)。最も重要なルールは「出てきてもよいと言われるまで出てくるな」だった。

  約30分後、プラスチックの容器に入れられた夕食が運ばれた。

  それから数時間後、男性医師が私の体温を測定し、咳のサンプルや鼻の粘液を採取した。全身を覆う防護服を着ていたので、目以外は見えなかったが、優しい目をしていた。

  私は疲れ果てて眠りに落ちた。自分の体温を何度も測る夢を見た。

  3時間後に目が覚めた後、携帯電話で小犬の動画を見たり、文を書いたり、冷たいシャワーを浴びたりして気を紛らわせた。繰り返し体温をチェックしたところ、36.6度から37.2度の間の正常な範囲に戻った。検疫により、小数点以下の数字に神経質になっていた。

  陰性との検査結果を受け取った時、安堵(あんど)の涙を抑えるのに苦労した。私は数人と共に、ウイルス感染なしと保健福祉省が認定する文書を受け取り、施設を後にした。

  今回検疫を受けるまで、今のような時期には人々があっという間にすっかり烙印(らくいん)を押されてしまうことを完全には理解していなかった。毎朝発表される感染者数の裏には、恐れと疎外感を味わい、ちょっとした思いやりを必要とする人々が存在することを今回の体験で知った。

原題:
I Flew to See My Parents and Ended Up in Coronavirus Quarantine(抜粋)

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