コンテンツにスキップする

「地獄のドア」たたく-新型肺炎、死も覚悟した武漢市の21歳男性

  • 最初の4日間は過酷-高熱や体のあらゆる部分に拷問のような痛み
  • 病院代わりの施設に隔離-誰も入退室できないように警察が見張る

新型コロナウイルスの感染が拡大する中国湖北省武漢市の学生で、新型肺炎から回復した男性が取材に応じ、死を覚悟せざるを得ないほどの重い症状に苦しんだ経験や警察による監視下の隔離生活を振り返った。

Tiger Ye

新型コロナウイルス感染の隔離生活から自宅に戻った葉さん(2月13日)

ソース:Tiger Ye

  21歳の葉虎さん(仮名)が最初に肺炎を疑ったのは先月21日。体調不良で夕食を済ませることもできなかった。体温を測ると、熱があったという。

  葉さんは真夜中に武漢でもトップクラスの同済医院に駆け込んだが、待合室は人であふれていた。検査を受けるなら、何時間も待たなければならないと知った。

  葉さんは同済医院で待つことを諦めた後、近くの小さめの病院で薬を手に入れることはできた。葉さんの症状は極めて重いとは判断されず、医師は帰宅し自身を隔離するよう指示するだけだった。

過酷な4日間

  新型肺炎の最初の4日間は過酷だった。

  葉さんは「高熱や体のあらゆる部分に拷問を加えるような痛みに苦しんだ」と振り返る。日本文化が大好きで声優になることが夢だと話す葉さんは日本のアニメを見て気を紛らわせた。

  病院での再診予約日がやってくる前に容体は悪化。「死ぬんじゃないかというくらいにせき込んだ」と語る。

  病院では葉さんが新型コロナウイルスに感染し、肺へと広がっている可能性が高いことが複数のコンピューター断層撮影(CT)画像で分かった。医師らは感染を確認するのに必要な核酸検査を受けさせるかどうか検討したが、そこまで重症でないと判断された。供給された検査キットはもっと症状が重い患者のために残しておかなければならなかった。

CT scan

容体が悪化した葉さんの肺を映したCT画像(1月25日)

ソース:Tiger Ye

  葉さんの容体はさすがに死ぬかもしれないと自ら考えるほど悪化。「地獄のドアをノックしていると思った」と振り返る。

  39度の高熱となった葉さんは病院を再び受診。医師は新型コロナウイルス感染の治療で有効性を一部示していた抗エイズウイルス(HIV)薬「カレトラ」を投与。体温はその日のうちに37度まで下がったという。

  葉さんが待ち望んでいた新型コロナウイルスの検査キットの1つをようやく入手した先月29日には状態が着実に改善。検査の結果は陽性だったという。

今度は隔離

  それから9日後の今月7日、別の核酸検査で陰性となったが、困難から脱したわけではなかった。陰性だった人でもその後に重篤化する可能性があるとの報道を受け、地元政府は病院代わりとなっていた宿泊施設に葉さんを隔離。誰も入退室ができないように警察が外で見張っていたという。

  5日後、葉さんは帰宅を許され、約3週間に及ぶ新型肺炎を巡る出来事がようやく終わった。生き延びることができたことに感謝するとともに、危険を顧みず、治療に当たった医師や看護師を称賛する葉さんに、新型ウイルスに自らが感染しているのではないかと疑いつつも患者の治療を続けていると打ち明ける医師もいたという。

  多くの住民と同じく、葉さんは新型ウイルス感染拡大への当局の対応に批判的だ。「湖北省は事情を隠そうとする間に、次から次へと機会を逃した。1カ月前、政府が情報を隠さなければこのような事態にはならなかったはずだ」と訴えた。

CHINA-HEALTH-VIRUS

病院として使用することにした武漢の展示センターで軽い症状の患者受け入れを進める医療スタッフ(2月6日)

写真家:ゲッティイメージズによるストリンガー/ AFP

原題:
Here’s What It’s Like to Survive the Coronavirus in Wuhan(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE