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日本製鉄:今期4400億円の赤字に、粗鋼生産能力を1割超削減へ

更新日時
  • 収益性低下で製鉄所の減損3966億円を計上、年間配当10円に引き下げ
  • 日鉄日新製鋼の呉製鉄所を全面休止、和歌山製鉄所の高炉1基も休止

日本製鉄は7日、2020年3月期の連結純損益が4400億円の損失に陥る見通しだと発表した。経営環境の悪化による製鉄所の収益性低下のため、減損損失3966億円を計上することが響く。従来は400億円の黒字を見込んでいたが、一転して同社にとり過去最大の赤字となる。

Inside Nippon Steel & Sumitomo Metal Plant As US and Japan To Intensify Bilateral Trade Talks Amid Tariffs

製鉄所の減損を発表した日本製鉄。写真は鹿島製鉄所。

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  減損計上により、19年10-12月期の連結純損益は3961億円の赤字(前年同期は898億円の黒字)となった。これに伴い、期末配当を無配とし、年間配当は1株当たり10円と前期の80円から引き下げる。

  業績悪化を受けて、役員報酬を7月分以降、1年間減額する。会長や社長で4割強、副社長で4割弱、常務クラスで3割強などの減額幅となる。業績連動に応じた措置だが、これとは別に、役員報酬の一部返上も直ちに実施する。

  減損の内訳は鹿島製鉄所が1504億円、名古屋製鉄所で1228億円、広畑製鉄所が447億円、子会社の日鉄日新製鋼で787億円。

  米中貿易摩擦に端を発する製造業向け鉄鋼需要の減退や価格低迷の一方、中国の鉄鋼メーカーによる同国インフラ向け鉄鋼生産の増産によって鉄鉱石などの原料価格は高値で推移する状態となっている。

  同日都内で会見した右田彰雄副社長は「鉄鋼価格の低迷と原燃料価格の高止まりが同時に発生するという過去に例を見ない状況に直面した」と説明。宮本勝弘副社長は「最適生産体制を構築することで一刻も早い業績の立て直しを図る」と述べた。

日本製鉄の主な製鉄所拠点(高炉数と19年3月期の粗鋼生産量)
  • 鹿島製鉄所 (茨城県)   2基   716万トン
  • 君津製鉄所 (千葉県)   2基   802万トン
  • 名古屋製鉄所(愛知県)   2基   585万トン
  • 和歌山製鉄所(和歌山市)  2基   432万トン
  • 八幡製鉄所 (福岡県)   2基   478万トン
  • 大分製鉄所 (大分市)   2基    875万トン
  • 室蘭製鉄所 (北海道)   1基   143万トン
日鉄日新製鋼の拠点
  • 呉製鉄所  (広島県)   2基   273万トン

  中長期的にも人口減などから国内鉄鋼需要の減少が見込まれることから、全体の粗鋼生産能力を1割超削減することも発表した。日鉄日新製鋼の呉製鉄所(広島県呉市)では21年9月末をめどに主要設備である高炉などの一部設備を休止し、残る全設備についても23年9月末までに休止する。一定規模を持つ一貫製鉄所を休止するのは日本製鉄にとって初めてとなる。

  和歌山製鉄所(和歌山市)では、09年に稼働した第1高炉を22年度上期をめどに休止する。これまで21年3月末としていた八幡製鉄所(小倉地区)の高炉休止時期は20年9月末へと前倒しする。現在15基ある高炉のうち、4基が休止することになる。 

  そのほか、名古屋製鉄所の厚板ラインの休止や日鉄日新製鋼・堺製造所の亜鉛めっきラインの休止、航空機エンジン向けが主体のチタン丸棒と原子力・火力発電プラント向けが主体のチタン溶接管事業からの撤退なども決めた。

  こうした一連の施策により、粗鋼生産能力の削減規模は年500万トンとなり、休止に伴う収益改善効果は約1000億円を見込む。 

昨年の国内粗鋼生産は1億トン割れ

リーマンショック時以来となる10年ぶり低水準

出所:日本鉄鋼連盟

 
 

(記者会見の内容を追加するなどして記事を更新します)
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