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新型肺炎で中国全土での自動車生産遅滞も、部品供給寸断恐れ-野村証

  • 武漢市に工場を持つホンダや日産以外のメーカーにも影響拡大か
  • スバルとトヨタは影響が少ない見通し、部品メーカーへの打撃も

新型コロナウイルスの感染拡大により、感染の中心地である中国の湖北省武漢市だけでなく同国全土で自動車生産が滞る可能性がある、と野村証券のアナリストは指摘する。

  野村証の桾本将隆アナリストらは28日付のリポートで、SARS(重症急性呼吸器症候群)が拡大した2003年との比較で中国の自動車販売は5倍以上に拡大し、主要な製造ハブにもなっていると指摘。移動制限で部品供給網が寸断されるリスクも高まり、中国全体で生産が滞る可能性があると述べた。

  主要シナリオごとの日本の自動車メーカーへの影響見通しは以下の通り。利益率が高く北米での販売が多いSUBARUトヨタ自動車はどのシナリオでも影響が相対的に小さいとみている。

3つの感染拡大シナリオに基づく影響の分析

①中国のみに影響

②アジアの新興国に影響が拡大

③日本や豪州にも影響が拡大

  新型コロナウイルスの影響で中国経済が短期的に減速し、自動車販売に一時的に影響を与える可能性が高まっているとも指摘。これまでの需要低迷で日系メーカー以外は収益性の低下に苦しんでおり、さらなる販売の落ち込みでそうしたメーカーが投資を絞り込めば、日系メーカーにはシェア拡大のチャンスになるとの見方も示した。

  現地での販売・生産が落ち込んだ場合は、ホンダ系のテイ・エス・テックや日産系のユニプレスなど、中国売上高比率が高い部品メーカーへの影響が相対的に大きくなるリスクがあるとも指摘した。

  感染の拡大で中国政府は本来は1月30日までだった春節(旧正月)休暇を2月2日まで延長した。ホンダでは江蘇省と天津市の二輪車工場の操業停止を現地政府の方針に基づき8日までとした。湖北省と広東省にある四輪車工場の休暇延長の方針は未定だという。

  広報担当の松山康子氏は、感染の拡大は「中国国内の自動車販売には影響する」とコメント。問題が武漢市周辺にとどまれば別の生産拠点から部品を輸送するなどの対策も取れるが、国内の物流が遮断されるとそれもできなくなって影響が全土に拡大する可能性があり、「影響がどこまで続くかということを注視している」と述べた。

  トヨタは29日、地方政府による春節の連休延長措置や部品供給の状況を受け、現地企業との合弁会社が運営する天津市や四川省成都市などの工場の操業を2月9日まで停止する計画を明らかにした。10日以降については状況を見て判断するという。広報担当の新実真木氏によると、従来、現地合弁会社との工場は遅くとも4日までには稼働を再開する予定だった。

  武漢市周辺への出張を制限する方針については変更はないという。感染の広まりが同社の中国での販売に与える影響については、販売店によって状況が異なる可能性がありコメントは難しいと話した。部品のサプライチェーンに問題が発生する可能性についても、多種多様な部品があるためコメントは難しいとしている。

  リポートによると、SARSが拡大した03年との比較で中国の実質GDPは1.67兆ドル(約182兆円)から19年には8倍以上に拡大。自動車販売も、03年の約450万台から19年には2577万台まで拡大し、世界販売の28%を占めた。生産面においても電子部品も含めて中国が主要な製造ハブとなり、部品を中国から輸出するケースも増えているという。

  日本や東南アジアではインバウンド観光客の30%前後を中国人観光客が占めるケースが多く、アジア域内では消費の減速を通じた景気減速は避けられないとの見方を示した。

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