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国内企業に広がる新型肺炎の影響、資生堂やHISなどの株価下落

更新日時
  • イオンは武漢5店舗の売上高半減、営業の時間縮小など影響
  • 中国の新型コロナウイルス死者、少なくとも80人に
relates to 国内企業に広がる新型肺炎の影響、資生堂やHISなどの株価下落
Photographer: DALE DE LA REY/AFP
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中国で新型コロナウイルスの感染拡大は、日本企業にも影を落とし始めている。インバウンド需要の動向に左右されやすい資生堂や東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド、中国行きのツアーなどを企画するエイチ・アイ・エス(HIS)、航空各社の株価は27日、下落した。

  資生堂の株価は一時前週末比8.2%安の6860円と、2019年2月12日以来約11カ月ぶりの日中安値をつけた。ジェフリーズ証券の宮迫光子アナリストは、日本に来る中国人旅行客の「3-4割が団体」であることから、資生堂は中国の団体海外旅行禁止の影響を受けやすいと指摘した。

  また、日本人も中国人観光客が多い銀座などを避ける動きが出る可能性もあるとみている。感染拡大がどこまで広がるかを見通すのは難しく「事象が落ち着くまであと半年くらいはかかりそうだ」と話した。

その他の企業の株価変動

  • 無印良品を展開する良品計画の株価終値は前週末比5.2%安の1893円
  • ユニクロを展開するファーストリテイリングも5.7%安の5万8460円
  • オリエンタルランドは7.8%安の1万4500円-終値ベースで約4年ぶりの下落率
    • 備考:日本経済新聞は25日、台風など雨の日が多く入園者数が減少したためにオリエンタルランドの2019年4-12月期の連結営業利益が前年同期比6%減の1000億円前後となったもようだと報道
  • ANAホールディングスは3%安の3441円-終値ベースで17年5月以来の安値
  • 日本航空は3.9%安の3134円-16年11月以来の安値
  • HISは6.8%安の2548円と7カ月ぶりの下落率
  • 大幸薬品は10%高の4420円-09年9月以来の高値
  • イオンは1.3%安の2252円
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防護服を着て作業する赤十字病院のスタッフ(武漢市内)

  ファーストリテイリングの広報担当は、中国にあるユニクロ750店舗のうち26日時点で約50店舗が営業を休止していることを明らかにした。良品計画も湖北省武漢市で運営する無印良品10店舗の営業を25日から停止しており、再開時期は未定としている。

  中国で35店舗を展開するニトリホールディングスも、24日から武漢の7店舗の営業を中止している。武漢以外の上海や蘇州などの一部店舗でも営業時間を短縮しているという。広報担当の村松春菜氏が明らかにした。

  武漢で3カ所のショッピングモールを含め5店舗を展開するイオンは、現地政府からの日用品や食料品販売の継続要請もあり、現在も店舗の営業を続けている。同社広報担当の末吉真氏が明らかにした。

  ただ、一部の従業員が出勤できていないことから営業時間や店舗内の営業スペースを縮小しており、武漢での売上高は通常時との比較で半分程度まで減少しているという。現地に駐在する日本人社員は12人で、一部の人員を残し帰国する予定だという。

中国ツアーをキャンセル

  HISは1月に出発する中国行きのパッケージツアーのキャンセルを決定。同社広報担当は、武漢に向かうものはないものの上海ディズニーランドが閉鎖されたことで観光地を組み込んだツアーが成立しなくなっていると説明した。また、1月出発分で航空とホテルだけの「スケルトン」と呼ばれる形態で販売したものについては、全額の払い戻しができるよう対応しているという。

  ユニ・チャームでは、16日に日本国内で初めて感染者が確認されて以降、卸売会社からのマスク注文が通常時の約10倍に増加。同社広報担当の渡辺仁志氏によると、17日から24時間のフル生産の態勢をとっているものの一部で供給に遅れも発生しているという。

  大幸薬品では、ウイルスや菌などの除去に利用されるクレベリンに関する問い合わせが増えているという。同社IR担当の中川竜太氏によると、中国では製品を販売しておらず認知度が低いものの、同国からの問い合わせもあるという。前期(19年3月期)にクレベリンが品薄になったため、今期(20年3月期)は期初から工場をフル稼働させており現在もその状態は続いていると話した。

  菅義偉官房長官は27日午前の記者会見で、新型肺炎による観光業への影響について「まずは情報収集を行うことが重要、その上でどういった対策が必要かしっかり検討していきたい」と述べた。中国人観光客は急増しており昨年の訪日外国人全体の約30%を占めたという。

関連記事:新型ウイルス、日本のGDP直撃も-SARSの影響上回る恐れ

死者数80人に  

  新型コロナウイルスの感染による中国国内の死者数は武漢市を中心に24人増え少なくとも80人に達した。中国当局は感染拡大ペースを抑えようと、春節(旧正月)の連休の延長を決定した。

  中国国務院によると、当初は30日に終わる予定だった春節連休は2月2日まで延長される。同国の国家衛生健康委員会は、全土での感染症例が2744件に達したと発表した。これまでに世界で確認された症例のうち98%を中国本土が占める。

  中国政府のウェブサイトによれば、李克強首相は27日、武漢市を訪問し、感染拡大阻止の作業を視察するとともに、患者を見舞ったり医療スタッフを慰労したりすることを計画している。

  日本国内では26日に4例目の感染が確認された。日本政府は同日、民間のチャーター便を使用し、武漢市在住の邦人の希望者全員を帰国させる方針を発表した。

  武漢市に本社がある東風汽車と合弁を組むホンダは現地対応が必要な数人を除いて駐在員や家族、出張者など約30人をチャーター便で帰国させる方針を26日に決定。同様に東風との合弁で中国で事業展開する日産自動車も同市の出向者と家族は一部を除いて同便で帰国させる方針を明らかにした。

  安倍晋三首相は27日朝の衆院予算委員会で、新型肺炎を感染症法上の指定感染症に28日の閣議で指定する方針を表明した。指定感染症になると、患者の強制入院や就業制限などが可能になる。

  世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は26日のツイッター投稿で、新型コロナウイルスへの対応を巡り、中国政府当局者や医療専門家と会うため北京に向かっていることを明らかにした。

  WHO西太平洋地域事務局長を務めた尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は24日のインタビューで、感染者が潜伏期間内であったり、熱が低い「軽症」のケースも多かったりするため、新型コロナウイルスの検疫での水際対策は「難しい」との認識を示した。

  重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した03年と比べ、中国人の国内外への移動が多くなっていることも水際対策を難しくしていると指摘した。日本政府観光局によると、昨年の訪日中国人は959万4300人に上り、03年の44万8782人と比べると20倍以上に増加している。

  国家衛生健康委の馬曉偉主任は26日の記者会見で、「ウイルスの潜伏期間は10日程度で、最短1日、最長14日であり、潜伏期間であっても感染の可能性がある。それがSARSと大きく異なる点だ」と語った。

(日産自動車の対応を追加して更新します)
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