日本株は大幅下落、新型肺炎拡大で景気懸念-景気敏感中心ほぼ全面安
長谷川敏郎-
新型ウイルスの中国の死者数は少なくとも80人、海外団体旅行を禁止
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米株先物は大幅安、ドル・円は一時1ドル=108円70銭台と円高
27日の東京株式相場は大幅に下落。新型肺炎の感染拡大で景気や業績への影響が警戒され、機械や素材など景気敏感業種、化粧品などインバウンド関連株中心にほぼ全面安。
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〈きょうのポイント〉
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「春節明けの中国の生産活動活発化に期待する向きが多かった中で、新型肺炎の感染が拡大した」と指摘。中国で工場の生産や物流が抑制される事態となれば「生産活動回復のタイミングが先送りされ、中国経済の停滞が長引くかもしれない」と述べた。
週末に感染が一段と広がり、週明け日本時間27日の米S&P500種Eミニ先物は1%以上下落する場面がある。日本株市場でも設備投資関連など景気敏感、化粧品や小売り、旅行などインバウンド関連中心に幅広く売られ、TOPIX、日経平均とも終値で昨年末終値を割り込んだ。「感染者数が頭打ちになるまで投資家の不安が先行しそう。その間の株価調整を前提に現金比率を高める動きが出ている」と三井氏は語った。

新型ウイルス感染拡大で警戒強める成田空港
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
市場の動揺が大きくなった背景には、グローバル景気の不透明感がある。東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、米製造業PMIが2カ月連続して低下したことで市場では「景気回復が遅れている」と受け止められると話した。米製造業の足取りの鈍さに、経済面でのプレゼンスが高まった中国の混乱への不安が重なった格好だ。
もっとも平川氏は、今回の新型肺炎は過去の重症急性呼吸器症候群(SARS)などと比べて現時点では患者が重症化する比率が低いことに言及、「SARSなどのケースでも最終的には株価の方向性を決める主役のテーマにはならなかった」と指摘した。

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