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ベゾス氏の携帯ハッキング、訪米中のサウジ皇太子との夕食が起点

  • 皇太子からの動画受信後、ベゾス氏携帯から大量のデータ引き出し
  • 離婚協議中にもメッセージ受信-不倫相手に似た女性の写真

2018年春、サウジアラビアのムハンマド皇太子は米国に到着した。石油依存脱却に向けた経済計画を含むビジョンについて説明し、米国のエリート層を引きつけるための3週間にわたる全米訪問開始だった。

  メディア報道によれば、皇太子はマサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学を訪れ、ヴァージン・グループ創業者リチャード・ブランソン氏と宇宙旅行について語り合ったほか、オプラー・ウィンフリー氏などのセレブとも親しく交流した。皇太子はアマゾン・ドット・コム最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏ら企業経営者にも会った。

Saudi Defense Minister Muhammed bin Salman in Washington

ムハンマド皇太子

フォトグラファー:バンダル・アルガルード/アナドル代理店、ゲッティイメージズ経由

  ベゾス氏との対面は緊張を伴うものだったもようだ。アマゾンはサウジを含む中東で事業拡大することを目指していた。その一方で、ベゾス氏がオーナーの米紙ワシントン・ポストは皇太子を厳しく批判するサウジ人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏のコラムを掲載していた。

  カショギ氏は18年10月、イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された。

  ベゾス氏とムハンマド皇太子は同年4月4日、ロサンゼルスでの小規模な夕食会で会った。どのような話し合いが行われたのかは不明だが、互いの電話番号を交換するほど友好的だったようだ。

  それから約4週間後の5月1日、ベゾス氏はメッセージアプリ「ワッツアップ」を通じてムハンマド皇太子のアカウントからメッセージを受信した。ビジネス助言会社FTIコンサルティングの19年11月の報告書によると、メッセージには4.22メガバイト(MB)の動画が含まれていた。受信から数時間以内に「ベゾス氏の携帯から大量のデータの不正な引き出しが始まった」という。

離婚協議中にもメッセージ

  サウジ皇太子によるハッキング関与疑惑については英紙ガーディアンが21日に報じ、22日には2人の国連専門家によって確認された。両専門家は発表資料で、「われわれが入手した情報は、ワシントン・ポストによるサウジアラビアに関する報道を沈黙させるためだったとは言わないとしても、影響を及ぼす取り組みとして、ベゾス氏の監視に皇太子が関与した可能性を示している」と指摘した。

  サウジ大使館はハッキングへの関与を否定し、疑惑は「ばかげている」とコメントした。

Amazon CEO Jeff Bezos Speaks At Air Force Association Air, Space & Cyber Conference

ジェフ・ベゾス氏

写真家:アンドリュー・ハラー/ブルームバーグ

  ベゾス氏は18年11月8日、皇太子のアカウントから新しいメッセージを受信した。当時、ベゾス氏は妻マッケンジーさんと離婚協議中だった。夫妻は翌年1月に離婚を発表。その後間もなく、米タブロイド紙ナショナル・ エンクワイアラーはベゾス氏と元テレビ司会者ローレン・サンチェス氏の不倫関係について報じた。

  FTIの報告書によれば、皇太子からの18年11月のメッセージにはサンチェス氏に似た女性の写真が含まれていた。

  同報告書によると、FTIは昨年2月24日にベゾス氏のセキュリティー担当顧問を務めるギャビン・デベッカー氏に雇われ、ベゾス氏のiPhone(アイフォーン)の分析を行った。その中で、皇太子のアカウントから動画ファイルを受信後数時間で、ベゾス氏の携帯から出ていくデータ量が1日当たり126MBに急増したことが分かっている。受信前の半年の平均は同430キロバイト(KB)前後だった。報告書は同年11月に完了、カショギ氏殺害事件を調査している国連専門家に渡された。

原題:
Bezos Hack Began With Saudi Goodwill Tour, Intimate Dinner(抜粋)

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