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政府の描く高成長シナリオが現実と乖離、段階的に見通し引き下げ

  • 成長実現ケース、20年代前半に実質2%・名目3%上回る成長率想定
  • 政府試算への信頼性低下、予算編成などに影響しかねない-大和総研

政府は経済財政の中長期展望で描く高成長シナリオで、2020年代前半に実質2%程度・名目3%程度を上回る成長率を掲げるが、各年度の成長率見通しは現実と乖離(かいり)が生じており、過去5年間にわたり段階的に引き下げられている。

  政府の中長期試算では、18年度の実質国内総生産(GDP)成長率は、15年予想の2.6%から徐々に下方修正され、実績値は0.3%だった。19年度は15年予想2.1%から実績見込みで0.9%まで低下。20年度は事業規模26兆円の経済対策でかさ上げされても1.4%、21年度はその反動で0.8%に下振れする見通しとなっている。

実質GDPの政府見通し、段階的に引き下げ

政府の描く高成長シナリオと現実に差

出所:中長期の経済財政に関する試算(内閣府)の成長実現ケース

  政府は高成長を前提とした税収増や歳出改革により国・地方の基礎的財政収支(PB)の25年度黒字化を目指す。17日公表の中長期試算では、海外経済の減速を受けた成長率鈍化に伴う税収減と経済対策での歳出増が響き、25年度のPB赤字は3.6兆円と昨年7月の前回試算2.3兆円から拡大。PB黒字化は27年度、日銀が目指す2%の消費者物価上昇率の達成は24年度以降を見込む。

  中長期試算は「成長実現ケース」と、中長期的に実質1%程度・名目1%台前半程度の「ベースラインケース」の2パターンがある。ベースラインケースでは、推計期間の29年度までに財政健全化目標のPB黒字化だけでなく、日銀の目指す2%の消費者物価も達成できない見通しだ。

  ベースラインケースよりも低い成長率や高い歳出の伸びを前提に試算する大和総研は、PBは20年代を通じて緩やかに悪化し、20年代中ごろから消費者物価は1%程度で推移すると見込む。神田慶司シニアエコノミストは、高めの成長率を繰り返し引き下げることは、政府試算への信頼性の低下につながり、予算編成などにも影響しかねないと指摘する。

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