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ゴーン被告、会見の陰に日レバノン両政府の意向ー関係悪化への配慮も

  • レバノン政府、日本政府関係者の名指し避けるよう働き掛け-関係者
  • ゴーン被告も両国間の外交関係維持の意向を受け入れ-関係者

日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告の8日の記者会見の発言の背景には、日本とレバノンの外交関係が横たわっている。レバノン政府は記者会見で特定の日本政府関係者を非難しないよう同被告に求めるなど、対日関係悪化を避ける動きもある。

  事情に詳しい関係者によると、レバノン政府は8日のベイルートでの記者会見前に、ゴーン被告に対して日本出国の方法と日本政府関係者を名指しすることを避けるよう働き掛けた。両国の良好な外交関係を維持するためで、ゴーン被告もこれを受け入れたという。

Former Auto Titan Carlos Ghosn Addresses Media After Escaping Japan

会見するゴーン被告(8日、レバノン・ベイルート)

Photographer: Hasan Shaaban/Bloomberg

  ゴーン被告は会見で、逮捕は日本政府関係者も関わった陰謀と訴えたが、実名は挙げず安倍晋三首相の関与もないと語っていた。

  日本政府関係者によると、刑事被告人の立場であるゴーン被告が日本を不正に出国した上、自由に発言することへの懸念をレバノン側に伝えたという。

  ゴーン被告の会見前の7日には、大久保武駐レバノン大使とアウン大統領が会談。日本の外務省は詳細を明らかにしていないが、大統領は同被告の出国へのレバノン政府の関与を否定し、日本政府に対して協力を惜しまないと約束したと発表した。

  日本の外務省の国際報道官室は、ゴーン被告の会見での日本政府関係者に関する発言を巡っては、日本政府からレバノン政府への働き掛けは一切ないと回答した。レバノン政府にもコメントを求めたものの回答は得られなかった。

最大限の努力

  自民党の柴山昌彦政調会長代理は、日本政府関係者の関与について「常識的には考えられない」と指摘。会見に向けて日本の外務省が「どこまでのことができたのかは分からない」としながらも、レバノン政府に対して「最大限の努力はしたのではないか」との認識を示した。

  同党の青山繁晴参院議員は、「逃亡先で法を犯したまま」のゴーン被告の会見内容を「少しでもまともにするように、レバノン側に正当なプレッシャー」を掛けることや、「身柄が引き渡されない場合などの制裁も示唆すべきだ」と外務省幹部に求めたことをブログで明らかにした。

  ゴーン被告の記者会見での発言については、7日に開催された自民党の外交・法務両部会の合同会議でも懸念の声が上がっていた。

  自民党の中山泰秀外交部会長は、会見翌日の同党会議では、外務省から「ご指摘を踏まえて大久保大使とも情報共有し、尽力させた」と報告があったことを記者団に明らかにした。

  ゴーン被告に対しては、日本政府の要請で国際刑事警察機構(ICPO)が身柄拘束を求める「赤手配書」を発行。ただ日本とレバノンの間には犯罪人引き渡し条約がないため、菅義偉官房長官は10日の会見で、日本への身柄引き渡しは「レバノン政府の判断」だと述べた。

  中山外交部会長は、今後、レバノン政府が日本に対し「真摯(しんし)に対応」することを求めた上で、ゴーン被告ひとりのために「日本の国との信頼関係をき損する可能性をレバノン政府が賭けに出るのか」とけん制している。

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