コンテンツにスキップする

トランプ政権、為替報告書を政治的な道具に-専門家から批判の声

  • 市場が重視しなくなれば為替操作国認定の重みが損なわれる恐れ
  • 米政権が中国に望んでいるのは下落圧力への抵抗-セッツァー氏

米財務省は13日、中国との第1段階の貿易合意の署名を2日後に控えて、同国の為替操作国認定を解除すると何の前触れもなく発表した。本来は決まり切った手続きに基づいて策定される技術的内容の為替報告書が、トランプ大統領の下でいかに政治的な道具に転じたかを示すものだ。

  テンパスの外国為替ストラテジスト、ジョン・ドイル氏は「交渉材料に使われているのは間違いない」とした上で、「今後、われわれは報告書を見て、合意取りまとめに政治的に好都合であるなら、次はどの国が標的になるのか思案することになるだろう」と語った。

  財務省が半期に一度公表する為替報告書は、為替操作に従事していると見なされる国々に対する米国の政策について、市場に重要なシグナルを発する役割を長年果たしてきた。だが、貿易合意取りまとめのための手段などに使われ、市場がこれまでより重視しなくなれば、為替操作国認定の重みが損なわれることになりかねない。

  トランプ政権発足から5番目までの為替報告書では、ムニューシン財務長官は中国を為替操作国に認定する理由はないとして、認定を求めて圧力を強めるホワイトハウスに説明してきた。しかし、昨年8月には米国の対中追加関税を受けて人民元が急落し、トランプ大統領がそれまでの方針を覆したと、事情に詳しい関係者は語る。

米財務省、中国を為替操作国に認定-人民銀は声明で反論

White House Press Briefing With Secretaries Pompeo And Mnuchin

ムニューシン財務長官

Photographer: Al Drago/Bloomberg

  しかも、ムニューシン長官が1994年以来となる中国の為替操作国認定の根拠としたのは、議会への年2回の報告書提出を義務付けた2015年の法律ではなく、為替操作の定義がもっと曖昧な1988年包括通商競争力法だった。

  オバマ前政権で財務副次官補を務め、現在は外交問題評議会(CFR)のシニアフェローであるブラッド・セッツァー氏は「トランプ政権は中国について、標準的な定義とは異なる為替操作の定義を採用した」と指摘。「外為相場の誘導を手控えるよう中国に求めるのではなく、通貨下落圧力には抵抗するよう望んでいる形だ」と話した。

関連記事

原題:Trump Accused of Playing Politics With Treasury Report on China(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE