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ゴーン被告のベイルートでの会見は成功したか-国内PR専門家の見方

日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が8日に逃亡先レバノンのベイルートで開いた記者会見は、成功したのかそれとも失敗に終わったのか。日本国内のPRや危機管理の専門家の意見を聞いた。

Former Auto Titan Carlos Ghosn Addresses Media After Escaping Japan

レバノンのベイルートで会見するゴーン被告

Photographer: Hasan Shaaban/Bloomberg

共同ピーアール総合研究所の池田健三郎所長

  • 誰に訴えかけたいのかターゲットが定まっていない印象。自身が起訴された件についてはエビデンスを示さなかった。レバノン人を味方につけるなら過去のイスラエル入国について背景を説明し、理解を得るべきだった
  • アンガー(怒り)マネジメントにも失敗したと言える。会見時間は長くなり冗長となった。逃亡の詳細や今後の生活についても話すべきだったが個人の恨みつらみがほとんどを占めた
  • 迅速に会見を開き、自分の言葉で語ったところはよかった。記者を地域ごとにグループに分けて分断したところも戦略として成功と言える

広報コンサルタントの石川慶子氏

  • 非常にメッセージが明確だった。司法制度への批判がはっきりしていた
  • 身ぶり手ぶり、意気揚々として勢いがあってエネルギッシュでゴーン被告のかつての姿がよみがえったような感じだった
  • いろいろな国の記者がいて、各言語に合わせて返答していたので、自分の有能ぶりをアピールした点はよく考えられていた
  • 1時間独演したが、そのあと1時間以上質疑応答の時間を割いた。自分の説明よりも質問を多くしているのはよく組み立てられていた
  • 日本メディアをもっと入れるべきだった。日本のメディアを敵に回すのではなく、むしろ寛大さを見せて気持ちをつかむチャンスだった

リエゾンの笠下清二社長

  • 基本的にどんなメディアでも平等なので選別はよくない。選別するなら記者会見を開かない方がいい
  • 聞かれたことにきちっと答えていない印象を受けた。質問の論点をすり替え、日本の司法制度や地検を批判する一方、自分への批判には答えていない。日本出国の経緯も語らなかったが、法を犯しているにもかかわらず、そうした認識もなさそうだった
  • ゴーン被告には自身の思いや方針があり、こうしましょうとわれわれが提案を言っても意見を聞いてくれなさそうな印象を受ける
  • 潔白を主張したいのなら、日本に戻って日本の司法制度の下で立証すべきだ

エイレックスの江良俊郎最高経営責任者(CEO)

  • ゴーン被告は一方的にまくし立てたが主張は伝わる。日本の人質司法といわれるやり方が国際的に注目されたのはゴーン被告の狙い通り
  • 一方、世間が一番知りたいのは本当に無実なのか、日産の策略なのかという点。それについては証拠が示されず何も証拠がない印象を与えた
  • 突然逮捕されて証拠は全部押さえられているので酷ではあるが、改善点としては何らかの証拠が欲しかった
  • 日本で会見したらもっとたたかれていた。ゴーン被告に同情票が集まった点では海外でやったほうが良かったが、事態をひっくり返すような結果にはならなかった。逃亡して自分の主張だけするのは日本人のメンタリティーには受け入れられず、地に落ちたゴーン被告の信頼を日本で回復するのは難しい

山見インテグレーターの山見博康社長

  • 良かった点は公式に会見を開き、自分の言葉で話したこと。悪かった点はメディアを制限、特に日本メディアを自分にとって都合のいいメディアだけに限定したことで「私は不公平な人物である」との印象を世界に与えた
  • ゴーン被告が起訴されている内容について潔白を主張するのであれば、それに足る十分な証拠を具体的に提示する以外にはない

さくらピーアールの西谷優美子代表

  • ゴーン被告が今後信頼回復のためにできることがあるとすれば、日産とルノーの合併を嫌がる日産内部の人たちによる「クーデター」であるとか自身にかけられている容疑が正しくないという主張について証拠を示すことではないか。証拠を示さずに同じ主張を繰り返せば、メディアは離れていき、世間に与える印象は悪くなる一方だ。
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