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日産、ゴーン氏の損害賠償請求など法的手続き継続-レバノン逃亡でも

更新日時
  • ゴーン被告らの不正行為に対する調査の費用200億円以上-関係者
  • レバノン住居を不法に占有と見なし強制退去を求める考えも-関係者

日産自動車はレバノンに逃亡した元会長のカルロス・ゴーン被告と対決する姿勢を維持する。同社は7日、逃亡は極めて遺憾とした上で、同被告の不正により生じた損害の回復に向けた財産の保全や損害賠償請求など、法的な手続きを継続する方針だと発表した。

Fallen Automotive Titan Carlos Ghosn Flees to Lebanon

ベイルートのゴーン元会長の住居(12月31日)

Photographer: Hasan Shaaban/Bloomberg

  裁判所の定めた保釈条件に違反し裁判所の許可を得ずに出国したことは、ゴーン被告に対して責任を追及するという基本的な方針に影響を与えるものではないと強調。同社としては引き続き司法や規制当局に協力し適切に対応する考えを示した。

  日産は2019年9月に発表した社内調査の報告書の中で、ゴーン被告の不正な行為による被害額は約350億円以上とした上で、同被告らに対し損害賠償などの法的措置をとる方針を示していた。

  複数の関係者は匿名を条件に、日産がゴーン被告や金融商品取引法違反の罪で起訴されたグレッグ・ケリー元代表取締役による不正行為の調査に、弁護士や調査員、警備担当者の費用なども合わせて計2億ドル(217億円)以上を費やしていることを明らかにした。

  関係者の1人によると、東京地検の要請に基づき、同社はゴーン被告が日産の最高執行責任者(COO)に就任した1999年以降に発信された約600万通の電子メールを調べるために専門家を雇用。中東でも調査員を使うなどして、ゴーン被告の不正な行いについて調査を進めた。

退去を求める方針

  別の関係者によると、日産は今後、ゴーン被告のために同社が約875万ドルで購入し、改装や家具の調達費用まで負担したベイルートの住居も俎上(そじょう)に載せる方針だ。

  ゴーン被告による住居の占有は不法と見なし強制退去を求める考えだが、同被告の代理人は住居は正式に認められた退職金の一部だとして抵抗しているという。このほか、同被告を相手取り、レバノンでの損害賠償を求めて提訴する可能性もあるという。

  ゴーン被告逮捕後の混乱と業績の低迷から抜け出すため、同社では内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)、アシュワニ・グプタCOO、関潤副COOによる新経営体制が昨年12月1日に発足。しかし、25日には関氏が辞任して退社することを発表するなど迷走ぶりが浮き彫りとなった。

内田CEOの新年メール

  内田CEOは、電子メールで送付した新年の社内向けあいさつで、ゴーン被告の逃亡や関氏の辞任などのニュースが年末年始にメディアをにぎわせたにもかかわらず事業に専念する社員の姿勢に感謝の意を表明した。英文で書かれたこの電子メールは、ブルームバーグが独自に入手した。

  その上で、同社の事業再建が実行段階に進んでいると指摘。グプタCOOや他の役員とともに計画の実行を主導する考えを示した。また、同社幹部の不適切な行為を巡るメディアの報道は今後もしばらく続くものの、日産の信頼と業績の回復に対する信念は揺るがないと強調した。

  同社広報担当の百瀬梓氏はレバノンでの提訴の可能性や内田氏の電子メールについてコメントを控えた。

  SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは、調査に多額の資金を費やしたことについて、「権力闘争の結果として一方が追い出されて尻尾をつかむために200億円も払っているのはばかげているという言い方もできなくはない」とし、株主からすれば「あまりにも大きい金額」と述べた。

  収益の毀損(きそん)や配当金の大幅な減額、ブランドイメージの低下を食い止めることが同社の課題で、今後早急にリストラを断行して立て直さなければいけない状況だと指摘。「相当大きな手術をしなければ難しい」と話した。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達夫シニアアナリストは、日産がゴーン時代に「背伸びしたビジネスプランを表面上遂行するために相当無理をした」ことで、「今そのつけを払っている状況」と指摘。「今遂行している中期計画の方向性は間違ってはいないので、これを粛々と進めることが必要」だと話した。

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