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Photographer: Hasan Shaaban/Bloomberg
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混迷の度深まる米大統領選-トランプ氏弾劾裁判にイラン司令官殺害

  • 数年来の好景気でもトランプ大統領再選の可能性、盤石と言えず
  • 米国史のパターンはトランプ氏に打ち砕かれた-リクトマン教授

2020年の米国の主要な政治カレンダーは、議会上院でのトランプ大統領の弾劾裁判に始まり、11月の大統領・議会選挙で幕を閉じる。

  このうち与党共和党が多数派を占める上院の弾劾裁判で、トランプ大統領が無罪とされるのはほぼ確実。ただ、大統領選で再選を果たすことができるかどうかは見通せない。

  下院での弾劾訴追後に再選のための本選挙に出馬した大統領はおらず、上院の弾劾裁判がトランプ氏の再選の可能性にどう影響するか占うための前例もない。

  さらに、トランプ大統領の指示で米軍が先週、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことで予測は一層困難となった。新年早々、戦争のリスクが高まり、原油相場は急上昇した。

トランプ大統領の中東政策におけるソレイマニ司令官殺害指示の位置付け

  政治情勢の混迷の度が深まったことにより、16年のトランプ氏による番狂わせの当選を含め過去8回の大統領選のうち7回の選挙結果を正確に予想したアメリカン大学のアラン・リクトマン教授(政治史)も、自身の予測モデルが11月の選挙結果を正しく言い当てることができるか確信を持てずにいる。

  リクトマン教授は「南北戦争以来崩れることのなかった米国史のパターンは、トランプ氏の登場で打ち砕かれた。その結果、政治分析は危険に満ちたものとなり、今回の弾劾手続きも以前とは違ったものとなる」との見方を示した。

  数年来の好景気にもかかわらず、トランプ大統領の再選に向けた足取りは決して盤石ではない。全米世論調査を見ると、トランプ氏と民主党候補のバイデン前副大統領との直接対決となった場合、バイデン氏が得票率で一貫して上回る予想が示されている。

  一方、かつてオバマ前大統領について、再選に有利になるようイランに戦争を仕掛けると予想したこともあるトランプ大統領は、自身のイラン政策が政治的な利益をもたらすと明らかにみている。

  ソレイマニ司令官殺害を受けた対立激化は、トランプ氏を支持する共和党にとって大統領弾劾を攻撃する新たな材料となるのに対し、民主党は実質的にテロリストの死を悼んでいるかのように受け止められかねない居心地の悪い立場に置かれる形となった。

  バイデン氏は、米軍のドローンを使った同司令官殺害を「信じられないほど危険かつ無責任」と批判した。

  なお、上院と下院の交渉担当者がトランプ大統領の弾劾裁判のスケジュールさえ決めていないことも大統領選に向けた政治情勢を一段と複雑にしている。

  トランプ氏が再選を果たせば、議会の権能としての弾劾の脅威は弱まるだろう。他方、同氏が敗退した場合、将来の野党は大統領を非難する手段として、弾劾にもっと積極的に訴えるようになるかもしれず、選挙結果はトランプ政権以降もずっと、政治力学に大きな影響を与える公算が大きい。

原題:Trump Adds Iran Risk to 2020 Tests of Impeachment, Re-Election(抜粋)

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